鴉の羽ばたき 4 OPEN ページ22
「Aってば、髪色ピンクになんてしちゃって。何？色気付いた訳？」
「……………」
「服もお洒落にしちゃってさ？」
ドリンクに口を付けながら鼻で笑った母さんに手に力が篭った。
…………コイツ、何も変わってなかったのか？
膝に置いていた手が少しずつ震え出してきた頃に俺の手の上に姉ちゃんの手が重なった
「似合うでしょう？」
「え？」
「この服は仕事用の服だよ。外用の服はもっとお洒落なの。きっとお母さんビックリするんじゃ無いかなぁ？」
「……………」
「ワンピースとかもあるんだよ？似合いそうでしょ？」
「……まぁ、ワンピースなら淡い色が似合うんじゃない？」
「本当？なら今度淡い色のワンピース買いに行ってみようかな？」
「服に着られないように気を付けなさいよ」
「大丈夫だよっ！ちゃんと見て貰うからっ！」
「あっそ」
笑顔で母さんに話し続ける姉ちゃん。それに無愛想ながらも答え続ける母さん。
あぁ、こんな日が来るなんて少しも思ってなかった。
少しだけ滲んだ視界を誤魔化しながら俺も笑うと二人が俺に向けた笑顔にこの二人は親子なんだな、なんて思ってしまった。
烏の羽ばたき Fin
「姉ちゃん、何食べる？」
「最近少し太ったからなぁ……」
「ふんっ、そんな服着てるのに太ってちゃ元も子も無いわね」
「お母さんも歳なんだからお酒ばっか飲んでたら太っちゃうし体悪くなるよ」
「……はぁ？」
「あ、でも、太ったお母さんも見てみたいかも」
「……チャン、フライドチキン5人前頼んで」
「え、」
「えぇ！そんなに頼んだら太っちゃうよっ！」
「そん時はアンタも道連れよ」
「………ふ、二人とも少し落ち着いて、」
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月27日 21時
