鴉の羽ばたき 3 OPEN ページ21
そんな話をして1週間が経った今日。
俺は今日もキッチンカーへと足を運んでいる。でも今日は唐揚げを買う為に向かっている訳では無い。
見えてきたキッチンカーへと駆け寄ると今日の予定を知っているヌナは笑顔で俺に手を振った
『チャン〜！今日早いね？張り切ってんの？』
「違うってば、茶化さないでよ」
『ははっ！ごめんごめん！』
そう笑ったヌナに目配せをするとヌナは俺の言いたい事を汲み取ってくれたようで大きく頷いてくれた
『Aちゃん、今日は上がっていいよ？』
「へ？」
『チャンが、Aちゃんとご飯食べに行きたいんだってさ』
「え、……そうなの？チャン」
「うん、もう予約してるんだ。行こうよ」
「もう予約してるの！？……急だなぁ、オンニに迷惑かかっちゃうでしょ？……ごめんね、オンニ」
『聞いてたから大丈夫だよ。行っておいで？あと、オンニは辞めて？』
そう言って苦笑いしたヌナに手を振ると姉ちゃんは頭を下げながらエプロンを外してキッチンカーへと降りてきた。
「……それで？どこに行くつもりなの？」
「着いてくれば分かるよ、とりあえず割り勘ね？」
「えぇ？誘ったのはチャンなのに？もう……」
姉ちゃんはそう言うと少し呆れたように笑ってヌナへと声をかけると俺と一緒に歩き出した。
さて、店に着いたら姉ちゃんはどんな顔をするのだろうか？まず、スンチョルさんは知ってるのかな？ヌナは教えていないのだろうか？
"二人に会いたい"
そう言った声に少し笑ってしまった俺は結局切り捨てる事なんて出来なかったんだな、なんて思ってしまったもんだ。
見えてきた店の中へと入り、予約している事を告げ先へと進むと見えてきた個室の扉。締め切られた扉の中で先に一人で待っているだろう。
「……姉ちゃん、先に入ってよ」
そう言うと少し不思議そうな顔をした姉ちゃんは締め切られた扉に手をかけるとそのまま扉を開いてしまった
「……………え、」
「チャン……、Aも、元気そうね」
「……………」
「まぁね、どれくらいぶりだっけ？三ヶ月くらい？」
「………それ位かしら」
そう言って俺達から目を逸らした母さんは少しだけ細くなったみたいだ。
未だに固まっている姉ちゃんの背中を押すと地面に目を向けたまま席についた姉ちゃんの隣へと俺も腰を落とした。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月27日 21時
