お姫様達の後日談5 (ページ20)

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鴉の羽ばたき　2 OPEN ページ20

　
　
　
　
　
　
　
　
『お母さんってさ？私の事をすごく馬鹿にしてたでしょう？』

「……うん、」

『今はそんな私じゃ無いんだぞ〜っ！って伝えてやりたいっ！』

「……そっか」

姉ちゃんはヌナやスンチョルさんと出会ってから本当に表情がたくさん増えたね？よく笑うようになったし、よく怒るようになった。

俺、姉ちゃんがそんなに喜怒哀楽が激しい人なんて知らなかったよ。

「いつか会えるといいね？」

『ここの唐揚げ弁当をたまたま買いに来てくれないかなぁ？』

「それは無理でしょ、ここら辺通らないし」

『そっかぁ。それは残念っ！』

本当に残念だなんて思ってるのか良く分からないような返事をした姉ちゃんはニコニコしながら鶏肉の補充の為に塊肉をぶつ切りにカットしていった

『チャンは会いたい？お母さんに』

「え」

『会いたいなら別に会ってきても良いんだよ？お母さんはチャンに会いたいんじゃないかなぁ？』

「……………」

会いたいか、会いたくないか、そう言われたら良く分からない。

アイツの事は嫌いだった。

でも、たくさんの愛情を注いでくれていたのは事実だしテストでいい点数を取ったら褒めてくれた。お小遣いが少なくなれば困りながらも多めに渡してくれた。

姉ちゃんがもしいなかったら本当に幸せな家庭だったと思う。だからと言って姉ちゃんがいなければ良かった、なんて一度も本気で思った事は無いし許された事でも無いけどさ

『……確かにお母さんは私に対して酷かったよ？でも、チャンにたくさんの愛情を与えたのは事実でしょ？』

「………………」

『もし私に気を遣ってるなら、そんなのいらないからね？』

そう言って笑った姉ちゃんは昔のような姉ちゃんなんかじゃなくて弟を思う一人の姉のような顔をしている。まるでヌナがスンチョルさんに接してるような姿だ。

愛を貰えなかった人が愛を与えられればこんなにも前向きになれるんだな、なんて思った出来事だった。
　
　
　
　