54 Cits ページ6
『………本当だ、美味しいね？』
「………嘘ばっかり」
『嘘じゃ無いよ、お姉さんからしたらとても美味しくて優しさの詰まったコロッケだよ』
「……………」
またコロッケを一口齧るとお姉さんの姿が頭をよぎった。
彼女はどんな思いでコロッケを食べていたんだろう？でも、美味しいと思った気持ちに嘘一つ無いはずだ。
小学生の頃なんて決まったお小遣いしか貰えないのにそんな中で買っていたコロッケにどんな気持ちでチャン君はお金を払い続けていたんだろう？
………きっと、生き延びて欲しい。コレを食べて元気になって欲しい。そんな願いが込められているんだろう、
「……姉ちゃん、元気かなぁ？」
『え？』
「……スンチョルさんの所で幸せに過ごしてるかなぁ？」
『……………』
口を開けば、姉ちゃん姉ちゃんなんて言っちゃってさ？昨日、お姉さんに対して酷い事を思ってたんじゃないの？
………結局、チャン君の中でお姉さんを思う気持ちは幻想なんかじゃ無いんだよ。
『会いたい？お姉さんに』
「……どうだろう？姉ちゃんを傷つけちゃったので、」
『でも心配なんでしょ？だって、チャン君シスコンじゃん』
「シ、シスコ、……」
『えぇ〜？そうでしょ？だってさっきから、姉ちゃん姉ちゃんばっか言ってるよ？』
そう笑ってチャン君へ伝えると少しブスッとした後に私からフイッと顔を逸らしてしまった
「……別にそんなんじゃない」
『はいはいっ！もういいよ、分かってるって！』
「……………」
そう言って肩を叩くと肩を逸らしたチャン君に声を上げて笑ってしまった。そんな私に視線を向けて困ったように、もうっ、と呟いたチャン君は俯いて少しだけ笑った。
『………お姉さんに会う？』
「……え、」
『まだ、ウチを辞めてないから明日キッチンカーで働いてるよ？』
「………………」
『会おうよ、お姉さんに。……会って正直に気持ちを伝えよう？』
「………………」
そう言うと黙り込んで一点を見つめ続けたチャン君は小さな声で呟いた
「………俺、最低だなぁ」
『へ？』
「………ずっと違う事を考えてる」
違う事？
首を傾げると私を見て自嘲気味に笑った後に私の小指をギュッと握ったチャン君に驚いてしまった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 617人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ノルン(プロフ) - 小蝦さん» お読み頂きありがとうございます🙇♀️かなり長くなったのですが読んで頂き感謝です☺️これからも是非、楽しんでって下さい💋 (2月27日 17時) (
レス) id: 907990f381 (このIDを非表示/違反報告)
小蝦(プロフ) - ノルンさん完結おめでとうございます！今回もとても面白く更新が楽しみでした！次回作も楽しみにしてます！！ (2月27日 14時) (レス) @page31 id: 1f0b770aa6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月22日 23時
