65 Cits ページ17
「ココア、飲む？」
『………ココア？』
「ふふっ、初めて？」
『あ、はい。えと、飲むのは初めて、です』
「そ？美味しいよ？」
そう言って私の前に置かれた茶色いドリンクはユラユラと揺れて甘くて美味しそうな匂いをさせながら湯気を漂わせている
サンドイッチを食べ切った後に甘い匂いを漂わせる茶色いドリンクに口をつけるとその甘い味に笑顔が溢れ出した
『……美味しいっ！』
「そうでしょ？昔からスンチョルは朝からココアだったんだよね。今でも飲んでるなんて思わなかったけど。」
『そうなんですねっ！ふふっ！』
「ん？」
笑ってしまった私を少し不思議そうに見たお姉さんは首を傾げて私を見つめた
『あっ、ごめんなさいっ！何か、スンチョルさんみたいだなぁ、って！』
「……え？スンチョル？」
『はいっ、このココアの甘さ加減とか、ホッとするような感じがスンチョルさんに似ているなぁ、って思っちゃって、』
「……あぁ〜、なるほど。ごちそうさま」
そう言って少し苦笑いしたお姉さんに構わずココアを堪能していると真剣な声色でお姉さんは私に問いかけた
「……スンチョルといるの楽しい？」
『あっ、……はい、とてもっ、』
「……もう、家に帰りたくなくなる位？」
『……………』
帰りたくない。本音を言えば私の存在価値なんて0に等しいあの家にはもう居たくない。
でも、帰らなかったらチャンはどうなるんだろう？私が帰らなかったら喜ぶだろうか？それとも悲しんでくれる？
それに、あの家へ帰らなければチャンとは一生会えない、そんな気持ちさえしてしまうんだ。
『帰りたい、と言えば嘘になります』
「うん」
『あの家では私なんて存在していない。人間以下の生活しかさせられないあんな家になんて居たくない』
「……………」
『でも、帰らなかったらチャンとは一生会えなくなる気がしてしまうんです』
「へ？」
私の言葉に驚いたお姉さんに少し微笑んだ後、少し俯いてしまった
『………私とチャンを繋げてくれたのはあの家だった』
「…………」
『あの家が無ければ、私とチャンの繋がりは簡単に消えてしまう気がして、』
「…………」
『帰りたくないのに、帰りたい。………そんな気分ですかね？』
「………こっちがシスコンなら、相手もブラコンとは限らないんだなぁ、」
『え？』
「あ、ごめん、何もない」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 617人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ノルン(プロフ) - 小蝦さん» お読み頂きありがとうございます🙇♀️かなり長くなったのですが読んで頂き感謝です☺️これからも是非、楽しんでって下さい💋 (2月27日 17時) (
レス) id: 907990f381 (このIDを非表示/違反報告)
小蝦(プロフ) - ノルンさん完結おめでとうございます！今回もとても面白く更新が楽しみでした！次回作も楽しみにしてます！！ (2月27日 14時) (レス) @page31 id: 1f0b770aa6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月22日 23時
