8 Cits ページ10
"僕には、姉がいます。3歳上の24歳の姉です。
世間一般的には、もう働いていてしっかりお金を稼いで人によっては一人暮らしもしていると思います。
ですが、姉は働いていません。……いや、働けません。
小さい頃から母親に虫ケラ同然のように扱われ続けてまして、学校へ行かせると金がかかる。そんな理由で学校へ行ってませんでした。
その間、姉は何をしていたかと言うと、家の中に籠り掃除、洗濯、晩御飯の準備、まだ小さかった僕の世話、僕が小学生になると遠足のお弁当作り。
ヤングケアラー……の分類に入るか分かりませんが、それに近しい生活をしています。
そんな姉は学校へ行っていないので、簡単な計算しか出来ません。三桁の足し算引き算になると考えるのに時間を要するんです。
そんな状態だとどこも雇ってなんかくれない。そんな姉を見て母は女なんだから体を売って金に変えてこい、と告げました。僕が止めて事なきを得ましたが………
自分の実の娘なのにそんな事を告げるアイツが僕には理解出来ません。
なので、姉に言ったんです。俺が大学を卒業してちゃんとした給料を貰ったらこんな家から一緒に出て行こう、って。
でも、僕が社会人になっても僕一人で二人分の生活を賄えるなんてとても思えなくて、
後、姉が口癖のように言うんです。私も働いてみたい、って。
でも、簡単な計算しか出来ない姉が働ける所なんてどこにあるのか検討もつかないし、
こんな話出来るの、Aさんだけなんです。お願いします。助けて下さい。………僕一人じゃ、もう、抱えきれない"
"話してくれて、ありがとう。今まで辛かったね？学生さんなのにそんな辛い事を抱え続けていただなんて………
………事情は分かりました。私なりの最大限の協力はさせて貰います。……常連の知り合いから頼まれたら断れないしねっ！
とりあえず、お姉さんに会いたいんだけど会えるかな？良かったら話をしたくて……
出来れば会って話したいけど無理そうならココに電話して？
いつでも大丈夫だからね？"
"…………ありがとう、Aさんっ、"
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
