5 Cits ページ7
そんな事を思ってもチャンに甘え続けてしまう私はきっとこんな状況でも生き続けたいと願っているんだろう。図太い神経をしているよな。
食べ終えた唐揚げ弁当を袋に詰めると急いでお風呂へと向かう。お風呂は3日ぶりだっただろうか？頭が痒くて仕方ない。チャンには感謝しかないな。
とは言え、私の服なんてもう10年以上無ければ下着も無い。私の為に、と怪しまれないようにチャンが買った男物の服と男性用の下着を持ち脱衣所へと駆け込んで行く
服を脱いで、母とチャンで分けられている洗濯物の中に手を突っ込んでチャンの物しか入っていない洗濯物へ着ていた服を紛れ込ませると私が着ていた服はどれか分からなくなった。
欺く為に白や黒といった服達を見ていると少しだけ胸が痛んでしまう。きっと、もっとお洒落したいだろうに、
お風呂へ入り15分ほどで上がると母とチャンはまだ帰ってきていなくて髪も乾かさずにチャンの部屋へと走って戻る。
私がお風呂から上がって5分ほど経つと玄関の扉が開いた音を聞いて思わず感心してしまった。……食べる時間、上がる時間を計算して帰ってきているんだろう、凄いよね本当に。
部屋の前を通り過ぎてリビングの扉の開いた音が聞こえると少ししてからまた扉の開く音。足音は近付いてきて扉を開くと袋を持ったチャンの姿が目に入る
「見て、食後のデザートに、ってケーキ買って貰っちゃった」
『良かったね』
「後で一緒に食べよう、もう風呂は入ったんだよね？」
『うん』
「髪濡れてるし入ってるか。なら、アイツが風呂入る前に俺先に行ってくるよ。すぐ上がるから待ってて、ドライヤーも持ってくる」
『うん、ありがとう』
そう言って部屋から出ようと扉に手を掛けたチャンは、あっ、と声を上げると私へと振り返って少し不安そうな顔をした
「……ケーキ一人で全部食べないでね？」
『約束は出来ないかも』
「……勘弁してよ、」
そう言って笑ったチャンはそのまま部屋から出て行きお風呂場へと向かっていった。チャンより先に母がお風呂へ向かってしまうと私が入った事がバレてしまう為、証拠隠滅の為に私の後には必ずチャンが入る。
そんな姉思いなチャンが私に言い続けてる言葉
"こんな家から早く出て行こう、俺が連れ出すから"
そんな夢みたいな日はいつ来るのだろうか？
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
