4 Cits ページ6
あぁ、美味しい。ずっと食べてこなかったから余計に美味しく感じる。量も丁度いいな、少なすぎず多すぎずで。
一度だけあの子の気遣いで小さいパックに分けられたお弁当も食べたら急に気分が悪くなってしまった。きっと一気に胃の中に入れてしまったからだろう。
ここの唐揚げ美味しいんだよ、そう嬉しそうに微笑みながら言った弟に見守られながら唐揚げを食べると本当に美味しかった。
美味しいね、そう伝えてから弟からの支給は唐揚げ弁当のみになったんだっけ？
そんな事を考えながら食べ進めた唐揚げ弁当。
このお弁当の容器にはいつも唐揚げが3つ入っていてご飯が普通のものより少なめだ。弟が少し食べているのかも知れない。
私の生活はたまに家で与えられる食事と弟からの食事で成り立っている。とは言っても、弟からの支給でほぼ成り立っていると言っても過言では無い。きっと弟がいなければ私は餓死しているんじゃないか？
それほどの食事しか与えられていないのにどうして私がまだ生きているのか気付きもしない母はきっとそれほど私に興味が無いのだろう。
母がいる時といない時でその顔を使い分けながら暮らしている弟は小学生で母を学びそれからこの隠れた生活が始まった。
きっと、弟なりに疑問に思ったんだろう。自分と私の扱いの差を。母にお姉ちゃんが可哀想だよ、そう言ったその日から母の弟の扱いは私と全く同じになってしまった。
お母さんに謝りなさい、私の事は気にしなくていいから。
そう伝えると泣きそうな顔をして頷いたあの子は母に許しを乞うと可愛い息子の言う事だ、と簡単に許してしまった。私がどれ程懇願しても知らぬフリをしていたくせに。
その日を境に弟の私を見る目は変わってしまった。
母と同じように軽蔑するような目で私を見つめ、存在を否定する言葉を吐き捨て、時に母の目の前で暴力を振るう
味方はいなくなった、と絶望を感じた。
でも、それが弟なりの作戦だったようで母からもっと可愛がられるようになった弟は母を手玉に取り中学生になった頃には母の扱いは私も驚いてしまう程、完璧なものとなった。
それからは弟から毎日支え続けられる生活。でもね、たまに思っちゃうんだ。
ねぇ、チャン？あなたいつまでこんな事を続けていくつもり？
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
