46 Cits ページ48
『こんにちは〜！起きてる？』
「あ、オーナーさん。こんにちは、起きてます」
スンチョルからゆっくり風呂に入りたいだろうから昼頃に来てやって欲しい、そして後でお金は払うから昼飯を食わせてあげて欲しいなんて連絡が来て思わず笑ってしまった。
どうやら、私の弟は気になった相手にはとことん甘やかせてしまう性格らしい。………私も人の事は言えないんだろうけどね？
『今日はね、あなたとお出掛けするつもりでここに来たの』
「……お出掛け、ですか？」
そう聞いてキョトン、とした彼女へまずは一つの袋を手渡した。その袋を受け取ると不思議そうに私を見る彼女
『今日は、私の服を持って来たの！気に入るか分からないけど……着てみて？』
「わ、私に？」
そう言って目を見開いて袋の中を覗き込んだ彼女は袋から一着のワンピースを取り出して広げると目を見開いたままワンピースを見つめ動かなくなってしまった
『……どう？あなたに似合いそうだな、と思って持って来たんだけど』
「…………こ、れ」
透明感のある彼女に持って来たのは白のロングワンピースでスカートの裾には刺繍が施されている。
勝負服として買ったのに着てみた瞬間驚くほど似合わなくてクローゼットの中で眠っていた物を掘り起こして来た物だ
『あなたが、これを気に入ったならプレゼントしたくてさ？』
「え、」
『女性なんだから、オシャレくらいしたいでしょう？良かったら貰ってあげて？』
「……ほ、本当に良いんですか？」
『もちろんっ！その為に持って来たんだから！』
私がそう告げると泣きそうな顔をしてクシャッと笑い私へといい笑顔を向けてくれた
「ありがとうございますっ！……大切に、……大切に着ますね」
『……うんっ』
彼女の笑った顔は少しだけスンチョルに似ていてこの笑顔を先に引き出したのはスンチョルなんだなぁ、なんて思うと少しだけ自分の弟が誇らしくなった
『今日はね、お出掛けをするって言ったでしょ？』
「あ、はい、……あの、どこへ、」
『んふふ〜、まずはメイクをしようか？』
「……は？メ、メイクって、」
持って来た化粧道具を取り出すと彼女は慌てたように私に声をかける
「あ、あのっ！……私、メイクなんてした事が無くて……やり方が、分からないんです」
『そんなの知ってるよ』
「……え、」
『何の為に、私がいると思ってるの？』
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
