45 Cits ページ47
『馬鹿じゃないの？私に居場所を用意するなんて、』
「……そんだけ姉ちゃんが大好きなんだよ」
そう言ったスンチョルさんはベッドの上を少し移動して私の足元にあったへこみがお尻付近に移動した瞬間、昨日と同じように暖かい体温が私を包み込んだ
「……とりあえず、二人の気持ちが落ち着いたらゆっくり話し合えばいい。……な？」
『……う、ん』
「それまでは、どちらかの家に居て貰うよ、」
『………分かり、ました』
「だったら、君は、」
私の首に回った腕はグッと力が籠りスンチョルさんの首筋に顔が埋まると私のすぐ耳横で低い声が鼓膜に響き渡った
「……俺の家でいて貰うって事で、いい？」
『……はい、』
さっきまでは選択肢が二つあったのに一つになってしまった選択肢では首を縦に振るしか出来ない。
………二つあってもきっと同じ答えだったんだろうけど、
私が頷いたのを確認すると私の頭をわしゃわしゃと撫で回しボサボサになった姿を見て顔をクシャッとして笑うその顔は私にはとてもキラキラして見えた
「ここにいる間にチヂミ食わなきゃいけないなぁ〜」
『本当、ですね』
「約束はちゃんと守るから」
『はい、』
私の頭をもう一度撫でたスンチョルさんはそのまま立ち上がると私へと振り返った
「俺、仕事行かなきゃ行けないから、もう行くね？姉ちゃんにはお昼頃に来てって伝えておくから風呂ゆっくり入れよ？」
『はい、』
「じゃあ、行ってくるね」
『あのっ！スンチョルさんっ！』
「ん？」
扉に手をかけて振り返ったスンチョルさん。
少し微笑んでいるその顔を見ると自然と頬が緩んで私の気持ちを彼に伝えた
『ありがとう、スンチョルさん。……あなたに出会えて本当に良かった』
「………うん、俺もだよ」
そう言って扉を開けて出て行ったスンチョルさんに行ってらっしゃい、と小さな声で呟くと丁度いいタイミングで玄関の扉が開く音が聞こえた。
こんな些細な事すら幸せを感じている私はチャンと仲直りをした後、この家から、この人から離れられるのだろうか？
そんな気持ちがよぎってしまった
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
