44 Cits ページ46
『お気持ちはとても嬉しいです。ですが、これ以上お二人に頼る事なんて出来ません、』
「……………」
『ここまで親切にして頂き、本当にありがとうございます』
そう言って頭を下げると、んー、なんて唸りながらベッド淵に座ったスンチョルさん。
その重みで私の足元部分は少しへこみ布団越しに私の足がスンチョルさんの背中に触れた
「……俺ら姉弟はさぁ、嫌な事は嫌だ！って言っちゃうタイプなんだよね？特に、俺」
『へ、あ、はい』
「だから最初は巻き込まれたな、なんて思ったよ？弁当買いに行ったら姉ちゃんの家まで案内しろなんて言われるし？どこぞの姉弟喧嘩に巻き込まれて姉を追いかけろなんて言われるし？」
『……………』
「でも、チャン君への服を用意したり、三人分の弁当も買おうとしたり、君をここに連れて来たのは俺の意思なんだよ」
ベッドの両端に両手をついて少し俯きながら照れくさそうに話すスンチョルさんの姿に少しだけ胸が締め付けられて、私もスンチョルさんから視線を逸らしてしまった
「姉ちゃんもそうだよ？君を雇おうとしたり、チャン君を連れて帰ったり、下着や服も用意したのは姉ちゃんの意思だ」
『………へ、』
「ん？」
『……チャンを連れて帰った？』
チャンを連れて帰った、スンチョルさんは確かにそう言ったはずだ。チャンは家へ帰っていないの？一体どうして？
驚いている私に視線を移すと私の顔を見て笑ったスンチョルさんは今いるチャンの居場所を教えてくれた
「チャン君は今、姉ちゃん家にいるよ」
『……ど、どうしてあの子、帰って……、』
「何か〜、誰かさんみたいに自分が家に帰ったら相手が家に帰れなくなるから帰らない！なんて言ったらしいよ？」
『……………』
「似た者同士だねぇ〜？さすが姉弟っつーの？」
ハハッ！なんて声を上げて笑ったスンチョルさんとは裏腹に私はチャンへの思いで爆発しそうだった。
姉ちゃんなんかいなくなればいいって言ったじゃん。そんな私の居場所なんて準備してどうするの？これから自由に生きていきたいんじゃないの？……私は、もうあなたを、自由にしてあげたいのに、
込み上げてきた涙は止まる事を知らずに布団にポタポタを落ち続けて笑っていたスンチョルさんの声が止まってしまった
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
