39 Cits ページ41
『スンチョルは嫌なの？お姉さんがここにいるの』
「……あっ、いや、俺は、別に……、」
『そう？嫌な事は全力で拒否するスンチョルが拒否しないんだね？』
「……………」
『まぁ、とりあえずお姉さんには明日スンチョルの家にいてって伝えておいて？明日臨時休業するからさ』
「は、何で？」
『何でも〜、分かった？』
「あ、あぁ、うん、」
『明日あんた仕事でしょ？家の鍵置いていってよ。明日お姉さんを迎えに来たら家の鍵は私が閉めておくから。帰ってくる時また連絡ちょうだい』
そう淡々と予定を決めていく姉ちゃんに口角がヒクついた。姉ちゃんは何を考えてるんだろうか？
『じゃ、よろしくね？』
そう言って立ち上がった姉ちゃんの後ろを着いていくと玄関で靴を履いた姉ちゃんはドアノブを握りしめると俺の方へと振り向いた
『安心してよ。お姉さんは大切に扱うからさ？もっとあんたがお姉さんに首ったけになるような状態にしてアンタに返すからさ？』
「は、……は？」
『ふっ、じゃあね？』
「……………」
俺を見て鼻で笑った姉ちゃんはそのまま扉を開けて出て行ってしまい、俺はそのまま数分ほど玄関に立ち尽くしてしまった。
………もっと首ったけ？ふざけんなよ、何考えてんだよ、いらねぇよそんなの。
つか、まず首ったけになんかなってないっつーの。
俺は、ただ何も知らない純粋な彼女に色んな事を経験して貰いたくて、ただ助けてくれる人はたくさんいるよって伝えたくて、消えてしまいそうな程儚い雰囲気を出す彼女を笑顔にさせたくて、
「……何分かったような口聞いてんだよ、馬鹿姉貴」
目の前に姉ちゃんがいたら五倍になって返ってきそうな台詞を吐き捨てるとガチャリと鍵を閉めて意味も無くチェーンまでかけてしまった。
初日で女を好きになる訳ないだろ？馬鹿じゃ無いの？
リビングへ戻る途中、寝室の扉が目に入り扉に手をかけようとしてそのまま手をかけずに立ち尽くしてしまった。俺も、寝室で眠ろうと思っていたけどそんな気分じゃ無くなってしまった。
「…………ソファってか？……クソが、」
あーあー、全部姉ちゃんのせいだよ、勘弁してくれ。頭を掻きむしった後にリビングへと足を進め部屋に入れなくなってしまった俺は少し震えながらソファの上へと寝転がった。
あぁ、明日俺は彼女とどんな顔をして会えばいいのやら、
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
