36 Cits ページ38
姉ちゃんとの電話が切れた後に訪れた静かな時間。
チャン君とあの子のこれからを話し合う、
そうは言ったけど俺の中であの子をこの家に連れ帰って来た瞬間からどうするかなんて俺の中ではもう決まっている。
ただ、問題は姉ちゃんがそれをどう思うか、だ。
いや、姉ちゃんの事だ。迷いながらでも頭を縦に振るかもしれない。きっとこんな状態の彼女を放っておくなんて出来ないだろう。
先程まで、ありがとう、とずっと呟きながら泣いていた彼女は泣き疲れたのか結構前に眠りに入ってしまった。後は姉ちゃんと話をしてその結果を彼女に話すだけだ。
あぁ、姉ちゃんのせいで随分と巻き込まれたな。俺が今日弁当なんて買いにこなかったからこんな事になってないんじゃねぇの？
………もしかして喧嘩もしてなかったんじゃ無いか？だって、俺とあの子が別の場所で弁当を食ってなかったら姉ちゃんとチャン君はあんな話なんてしていなかっただろうし？あれ？俺のせいでもあるんじゃね？
苦笑いして吐き出した溜め息と共に頭を掻きむしると玄関の扉がガチャリと開く音がした。
姉ちゃんが来たんだろう。玄関に続く扉から顔を出すと少し疲れたような顔をして俺の方へと視線を向けた
中へと促すように首を動かすとそのまま靴を脱いで入って来た姉ちゃんはリビングへとやってきてソファに深く腰を降ろす
『お茶』
「はい」
少し疲れたような声色でお茶、と言った姉ちゃんに自分で入れろよなんて言うと三倍くらいの言葉になって返ってきそうだ。
ここは大人しく従った方が身の為だと判断した俺はグラスにお茶を注いでテーブルの上に置くとお茶を一気に喉へ流し込んだ姉ちゃんは少し低い声でボソッと呟いた
『……何で私がこんな所まで、……アンタが来なさいよ』
「……俺が家を出て、あの子が起きてたらどうすんだよ？ここから出て行かれたら終わりだろ。体売ろうとしてたんだよ？」
『……………』
「チャン君がそんなん知ったらショック死すんじゃない？」
そう伝えると髪を掻き上げて頷いた姉ちゃんはどうしてわざわざここまで来て貰ったのかを納得してくれたようだ。
………俺が買う、なんて言ったのに手も出さずにここに居て貰ったんだ。きっと罪悪感で苛まれているに違いない。そんな子を家に置いて出て行ける訳なんて無いだろう。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
