33 Cits ページ35
「母がいるとは言え、俺が家の中にいるよりかはよっぽどマシだと思います。………俺の言った事で姉ちゃんの行動を制限したくない」
『……それじゃ、チャン君はどうするの？』
「……ははっ、どうしようかな？……どこに行こう、」
なけなしの金でネカフェ位はいけるだろうか？それとも、バイト先に頭を下げて前借りさせて貰うか？まず、今いくら持っているんだろうか？
財布の中を確認しようと腕を動かした瞬間にAさんに腕を掴まれてしまった
「……へ？」
『うちのトラックに乗って？』
「え、……の、乗ってどうするんですか？」
『行く場所が無いなら家においで？ね？』
「……は？、えっ、」
そう言って強引に腕を引っ張って助手席の扉を開けたAさんに促されるまま助手席へと乗り込むとバタンッと扉を閉めてしまい運転席へと乗ってしまった
「あっ、あの……僕、」
『あぁー、気にしないで？確か、スンチョルの下着とか服が残ってたはずだからっ！』
「え、あ、服？」
『もうさ、ウチに泊まってけば？……ウチに泊まればタダなんだからさ？』
Aさんの言葉に戸惑いながらモゴモゴと口を動かすとまた優しく微笑んだAさんの顔に言葉を失ってしまった
『"最大限の協力はさせて貰います"そう言ったじゃない、忘れたの？』
「あっ、……….いえ、」
『あなた達には協力者が必要なの。それが私とスンチョルなだけ』
「……………」
『本当に、気にしないで？私達がやりたくてやってるだけだよ』
「………ありがとう、ござい、ます」
俯きながら吐いた言葉に小さい笑い声が聞こえるとトラックはエンジンを蒸しそのまま走り出してしまった。
何から何までAさんにお世話になっている。こんなにも助けて貰っていいのだろうか？
真っ直ぐな愛情を両親から与えて貰った人はこんなにも人に優しく手を差し伸べるのだろうか？
………そんな思いが頭を掠めた
『それにしても、チャン君は末っ子のはずなのに甘え下手だねぇ？……スンチョル見習えば？』
「………スンチョルさん、ですか？」
『……あぁ、でも駄目だなぁ。私、もっと放っておけなくなるかも』
……Aさんが放って置けなくなるならスンチョルさんを見習ってみたいな、そんな事を考える俺はおかしいのかな？
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
