27 Cits ページ29
『……多分、だけど、お姉さんがうちの弟に何か話したんじゃないかな？じゃなきゃ、服なんて詰め込まないだろうしさ？』
「あぁ、……そうなん、ですね」
『あの面倒くさがりの弟がわざわざ服を詰め込んだんだよ？貰ってあげてよ〜！じゃないと、弟の労働力の無駄じゃん？』
そうチャン君に笑いかけると私を見て少し笑い服の袋を開くと少しだけ目を輝かせた
「……あっ、！こ、これっ！」
『ん？』
「僕の好きなブランドの服ですっ！少し高くて中々手が出せなくて……っ、ほ、本当にこれ貰って良いんでしょうか？」
『もちろんっ！着てあげた方がうちの弟も喜ぶと思うよ！』
そう伝えると袋の中の服に目線を落としていき悲しそうな笑いながら口を開いた
「……新しい服なんて、もう増えないと思ってたなぁ」
『…………』
「姉へのご飯や、日用品を揃えてあげるのにいっぱいいっぱいで、」
『……お姉さんから、聞いたよ？』
「あっ、そ、そうなんですね？……ははっ、」
笑えているか良く分からないような顔で笑うチャン君は必死に口角を上げて笑おうとしている。そんな姿を見て心が少し痛んでしまった。……彼はまだ学生なのにね
『…….今まで、ずっと一人で良く頑張って来たね？』
「え、」
『でも、安心して？チャン君はもう一人で頑張らなくていいんだよ？』
「……………」
『いざとなれば私もいるし、弟もいる。これからは一人で抱え込まないで甘えて良いんだよ？』
そう伝えると、少し肩が震えたチャン君は紙袋を抱きしめてそのまま俯いてしまった。……どれほどの長い時間、彼は一人でお姉さんを支えて来たのだろうか？
お姉さんはチャン君に支えられて生きてきた。でも、チャン君は？彼がお姉さんを支え続けていた間、彼を支えてくれた人はいたのだろうか？
『これからは、私達で良ければ何でも話してね？きっと力になれるだろうから』
「…………」
『心温かくて優しいチャン君がお姉さんも大好きだからさ？これからは皆で助け合っていこうよ』
そう微笑みながら伝えると自嘲気味に笑ったチャン君は俯きながら少し冷たい声色で話した
「……心温かくて優しい？……俺が？」
『うん、だってずっとお姉さんを支え続け』
「違う、そんな事無い」
『え？』
「……それは、Aさんの幻想です」
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
