26 Cits ページ28
声は掛けられなかった。………何というか、スンチョルとチャン君のお姉さんの雰囲気がすごく良かったから。
あれ？いつの間にそんなに仲良くなったんだろう？そう思ったけど、彼女がスンチョルの服を持って帰って来た事や最初は少し無愛想だったスンチョルも帰ってくる頃には笑顔で話していたし。
きっと、私が頑張って唐揚げを揚げている間に仲良くなったのだろう。いや、良いと思う。良いとは思うよ？………ただ、弟のそんな場面見ると気まずいよね〜………
少し苦笑い気味になりながら受付部分を布巾で拭いていると私の肩を誰かが叩いた
「あのっ、お待たせしました」
『おっ！チャン君！お疲れ様っ！』
私に向かって深々とお辞儀をしたチャン君は顔を上げると周りを少し見渡した
「あ、あのっ………姉は今、どこに？」
『あぁ〜……私の弟と話してるよ。あっちのベンチ』
「弟さん？」
そう言って私の指差した方向を見たチャン君は目を凝らしながらその場所を見ると私と同じような顔をして何ともいえない顔で頷いてしまった
「あぁ〜……なる、ほど。仲が良さそう、ですね？」
『あー、うん、ね？……声、かけてくる？』
「あーー、いや、いいです、待ってます、うん」
そう言って苦笑いしたチャン君は、きっと私と同じ事を思ってしまったのだろうか？………気まずいよね？声、かけずらいよね。二人ともあんな目をしてお互い見てたらさ、うん。
『………あ、そうだ』
「へ？」
首を傾げてこちらを見たチャン君に微笑むと、何かよく分からないがとりあえず私に微笑み返してるであろうチャン君。
そんなチャン君に紙袋と弁当の入った袋を差し出すと目を丸くして私を見たチャン君。
「あの、これは………？」
『これ、弟から』
「は、……えっ！？」
紙袋の中に大量に畳まれた服と唐揚げ弁当を見ると目を見開きながら両手と首を横に振り慌てたように口を開いた
「いやっ、こんなっ、も、貰えないですっ」
『うーーん、でも、服は持って来ちゃったし、唐揚げ弁当も作っちゃったよ？』
「そ、そんな、」
困ったように顔を顰めたチャン君の腕を掴んで服の入った紙袋と弁当の袋を持たせると目を泳がせながら二つの袋を見つめたまま動かないチャン君。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
