21 Cits ページ23
『安心しな？弁当は残ってるから』
「マジ？じゃあ今すぐ作って？俺、腹減って死にそうなんだよ。何個分作れんの？」
『3つ分だよ』
「あぁ、分かった。……じゃあ、コレ、」
そう言って財布を取り出して私に渡したお金の金額は2100円。唐揚げ弁当三つ分の値段だ。
『………え？三つ食べるの？』
「そんな訳無いでしょ？俺と、彼女と、彼女の弟の分。」
「えっ、」
「お腹減ったっしょ？一緒に食べようよ」
「えっ！？……そ、そんなっ、服まで頂いたのに、申し訳ないですっ！頂けませんっ！」
服？スンチョルは服なんてあげたのか？彼女の持っている紙袋の中身に視線を移すと確かに男物の服が大量に突っ込まれている。
「あー、良いって良いって、気にしないで？お姉さんも腹減ってんでしょ？姉ちゃんの唐揚げ大好きって言ってたじゃん？もう一つも弟くんに渡してあげてよ」
「だ、だって、こんなに、頂いてるのに………」
そう言って紙袋の中へ視線を落とした彼女は困り果てている。ニコニコ顔のスンチョルは彼女から何か話を聞いたのかな？じゃなきゃ、腹減ってんでしょ？なんて決めつけた言い方しないだろうし
スンチョルに渡された2100円をスンチョルへと突き返すとスンチョルは驚いて私を見つめた。アンタも手伝ってくれたしね。唐揚げ弁当はお駄賃にしてやるよ
『じゃあ〜、私から三人に唐揚げ弁当を奢ってあげるよ』
「な、何、言って………」
「マッジ！？やった、ラッキー！！」
スンチョルはお金を受け取り財布の中へ仕舞っていった。
『気にしないで？スンチョルはうちの大切なバイトを安全に家までの道を教えたご褒美、貴方は初勤務で頑張って家まで行ったご褒美兼賄い、チャン君は…………紹介手数料かな？』
そう言って冷蔵庫から鶏肉を取り出して一気に15個もの唐揚げを油の中へと落とすといつもより少しだけ大きいパチパチ音。
「………ありがとう、ございます、」
「……そこの階段で一緒に待ってよう。な？」
『……………』
あぁ、スンチョルが気遣うように優しく声をかけてるって事は彼女はスンチョルにも事情を話したのかも知れない。
油のパチパチ音を聞きながら二人の邪魔をしないように息を潜めて唐揚げが出来上がるのを待ち続けた
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
