20 Cits ページ22
『……おっそいなぁ、』
道が分からなかったであろう彼女の為にスンチョルにも向かって貰ったって言うのに何でこんなにも遅くなる訳？一体何をしているのやら、
客足は収まったが、鶏肉は弁当3個分しか残っていない。三人分の弁当しか作れないような状態だ。
……また妙な事思いついて寄り道してるとか？
少し破天荒で天真爛漫なスンチョルは少し有り得るかもなぁ。腕を組みながら焦りからか指をトントンと叩いているとやっと姿を現した二人に思わず漏れた溜め息。
『………はぁ〜、………ん？』
何でそんなに持ってくるの？そんなにいらないんだけど？
大量の鶏肉を手に引っ提げて歩いてくるスンチョルとその隣にはダボダボの服を着た彼女の姿。そんな彼女の手にはこちらに来る時には無かった紙袋が引っ提げられている
「ごめん姉ちゃんっ！遅くなった！」
『本当だよ、お客さん来たらアウトだったんだよ？』
「まぁまぁ、間に合ったんだろ？なら良いじゃん！」
そう言いながら手渡された鶏肉を受け取り袋を開けて鶏肉を持ち上げた瞬間愕然とした
『………えっ、アンタこれ冷凍庫の物を取ってきたの？』
「え？違うかった？」
『いやいや、何で冷蔵の物を持ってこなかったの？コレを解凍するのにどれだけ時間かかると思ってる訳？コレじゃあ弁当なんて作れないじゃんっ！』
「はぁ？姉ちゃんが鶏肉持ってこいしか言わなかったんだろ！？持って来て貰っておきながら文句言うなよっ！」
『………はぁーーー、もう、……』
ガッチガチに固まっている鶏肉達は身を寄せ合い一つになっている状態だ。コレを使うのは無理だ。コイツ達の使い道は明日だな。
肩を落としながらキッチンの中から外に出ると表へと回って受付口を引っ張ってガラガラとシャッターを締めると二人は目を丸くして口を開けてしまった
「えっ！閉めんの！？」
『冷凍された鶏肉は使えないからね。この鶏肉の出番は明日になるよ。まぁ、売り上げも悪く無かったし早閉めしても問題ないかなぁ？って』
「……え、閉めるって事は、鶏肉全く無いの？え？俺の唐揚げ弁当は？」
絶望感を漂わせながら私に聞いてきたスンチョルの言葉に思わず笑ってしまった。たかが唐揚げ弁当ごときで人生終わりそうな顔しちゃってさ？
大体、私が唐揚げ専門店やるって言った時腹抱えて笑ったのアンタ覚えてんの？
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
