19 Cits ページ21
『も、もう、走れな、……っ、』
「………俺も、歳だな、」
全力で走っちゃいないのに切れた息に自分の年齢を痛感すると家の鍵を開けて彼女を中へと促す。
「玄関で座って待ってて？とりあえずお茶持ってくるわ」
『あっ、……ありがとうございます、』
そう言った彼女に頷きながら家の中へと足を踏み入れてグラスにお茶を注いで彼女へ渡すと肩に手を置いて優しく声をかけた
「……ここで、ちょっと待ってて？すぐ戻るからさ？」
『あ、は、はい』
そう言った彼女に微笑みながら立ち上がると自分の寝室へと進み扉を開く。真っ先に進んだ場所はクローゼットだった。
「……確かここに、」
クローゼットをガラッと開けると使わなくなった沢山の服が山積みになっている。隙間に突っ込んである紙袋を取り出して袋の中へ次々と服を突っ込んでいった
流行りが過ぎた物、カッコいいと思って買ったのに結局着なかった物、使い古してしまった物、サイズが合わなかった物、カレーが染み付いた物………は、部屋着に出来るか？いいや、入れちゃえ
そして、コレは…………
「………お気に入りだったんだけどなぁ、」
サヨナラ、俺のお気に入り君。元気でいてくれよ？
お気に入りの服やパンツを紙袋の中に突っ込むと大きく膨らんだ紙袋はパンパンに詰まっている。
こんなもんか。
紙袋を持ち上げて彼女の元へと戻ると俺が持っている紙袋を見て唖然としている。
紙袋を彼女へと差し出すと首を傾げながら紙袋を見つめたまま固まっている彼女に笑いかけた
「いっぱい服入れたからさ？コレ、弟にあげてよ」
『………え、』
「あぁっ、でも、サイズは合うか分かんないし好みじゃ無いかも知んないけどさ？………無いよかマシでしょ？」
『…………こ、こんなに、？』
少しだけ目を潤ませながら不安そうに聞いてきた彼女に頷くと紙袋をギュッと抱きしめて俯いてしまった
『ありがとう、……ありがとう、スンチョルさん、』
「………あぁ、うん、」
紙袋を抱きしめた彼女を見て守ってあげたくなる気持ちが湧き上がるのは男の本能ってやつなのだろうか？
潤んだ目で微笑みかけた彼女に自分でも想像つかないほどの笑顔が溢れてるであろう自分の顔を鏡で見たくなってしまった。
………俺、どんな顔してんだろ、
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
