1 Cits ページ3
「最近、どうなの？売り上げ」
『ん〜？……まぁ、ぼちぼち？』
「うわぁ〜！嫌味ったらし！」
『……アンタが聞いたのに？』
キッチンカーの後ろ部分に備え付けた階段に座り込みながらお弁当を掻き込み話すスンチョルの姿にほとほと呆れてしまう。
スンチョルに簡易型階段の存在を教えてしまったが運の尽き。
仕事が終わりこのキッチンカーへ寄ると奴はこの階段に座り込みながらお弁当を食べ始めゴミを残して帰ってしまう。
家で食べればいいじゃん、と話すと帰ってる間に冷めるじゃん、なんて言われた時にはそうですか、と返してしまった
まぁ、毎回700円という金額をキチンと払いながら唐揚げ弁当を購入してくれるのは有り難いんだけどね。
………あ、訂正。給料日前は3、4回タダ弁だな。
「ていうか、表にバイト募集の紙貼ってるじゃん。人足りないの？」
『全然足りない、って訳では無いけどね？……ほら、忙しくなった時にお肉や米をお母さんに毎回持ってきてもらうのは悪いじゃん？』
「あぁ〜、雑用係がいないんだ？ていうか忙しさくらい読みなよ。開業して半年経ってんじゃん？大体の客足くらい分かるでしょ？」
『毎回毎回お客さんの入り具合が同じな訳無いじゃん。読める訳無いでしょ？………ねぇ、アンタちょーーっと手伝わない？』
「無い」
『……賄いとして、弁当出してあげるよ？』
「………無い」
『悩んだよね？今、絶対悩んだよね？』
私がそう聞くとプイッと背中を向けてまたお弁当を食べ始めてしまったスンチョルは今心が揺さぶられてるのだろうか？
好きだもんなぁ、私の弁当。
なーんて思ってもやって欲しい事をスンチョルに話せばきっと金払って食う方がマシだわ、なんて言いそうだ。そして姉の私には少しだけ分かってしまう
きっとコイツは使えない。
コレを持ってきて、アレを買ってきて。そう伝えると面倒くさそうな顔をしながらも一応動くスンチョルだがどこか抜けている。買い物を3つ頼むと1つ何か忘れて帰ってくる。
ハサミを取って、そう伝えると周りを見渡した後不思議そうな顔をして無いよ？と首を傾げながら真剣そうに伝えてくる。目の前に置いてあるハサミには目もくれずに。
小学生の時からそんな状態のスンチョルは23歳になった今でもそんな奴なんだ。子供の頃から何も変わっちゃいない。……愛嬌の良さもそのまま引き継いでるけど
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
