15 Cits ページ17
「……あ、あの、姉がすみません、ま、全く〜！困りますよ〜！ねっ！？こんな……」
『あ、いえ、こちらこそ………すみません、』
「お、お客さん、でしたか？いくら仲良くてもお客さん使ったら駄目だろ！……ってね！」
『い、いえ、先ほど働いて下さいと言われた、バイトの者……です」
「あっ、あぁ……バイト、」
気っまず、何だよコレ。何で俺がこんな目に合わなきゃいけないの？姉ちゃんは何考えてんだ？
俺の横を俯きながら歩くのは髪はボサボサでオーバーサイズの男物の服を着た女。何だ？男と住んでいて寝坊してメイクは出来なかったし服は彼氏の物しか無かったの〜ってか？
ケッ、見せつけてんじゃねぇぞ、俺への当てつけか？
大体、案内させるほど姉ちゃんの家はややこしくないだろ。ビューーッと行ってピッと曲がればすぐだろうが。
弁当を買いに行っただけなのに面倒な事に巻き込まれたもんだ。そんな事を思いながら歩いていると横の女は体を縮こませながら謝ってきた
『……あの、すみません、』
「……へ？あ、あぁ、……まぁ、はい」
『私がちゃんと地理を分かっていれば、スンチョルさんに迷惑をかける事は無かったのに、』
「地理っつー程のもんでも無いでしょ。ここをビューーッと行ってピッて曲がりゃあ着くんだから」
『……あ、えと、道は、教えて貰ったんですが、私が理解出来なくて、』
「理解出来なかった？」
『……西と北が、分からなくて、』
「あっは！だいじょーぶ、だいじょーぶっ！！俺も分かんないから！」
『……え？』
何故かかなりへこんだ様子の彼女の肩を励ますように何度も叩いてからハッとした。
………男持ちの女に触れちゃいけないか？
そう思って手を離すと俺の言った事に不思議そうにする彼女。何でそんな顔してんの？あなた何で分かんないの、ってか？お互い様だろ
「ほら、学校で東西南北は習うけど、いざ大人になったら使わないじゃん？東から太陽が上がって西に沈むくらいしか覚えてないもん」
『東から……西に、？』
「あぁ、後家探す時は南向きの家を探せって姉ちゃんに言われたなぁ。洗濯物の乾きの早さが違うんでしょ？ほら、東西南北ってそん位しか使わないし？」
『……南、……東西南北、……』
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
