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12 Cits ページ14

 
 
 
 
 
 
 
『こんにちはっ!わざわざ来て貰ってありがとうございます!』


「……こちらこそ、急にごめんなさい」





そう言ったチャン君のお姉さんは私へと深々と頭を下げて、横に立っていたチャン君も私へと頭を下げた。




そんな彼女の姿を見て思わず目を逸らしてしまった。



栄養が取れていないのか、少し荒れた肌に痩せている体。自分で切っているのか不揃いの黒い髪の毛に一度も化粧をした事が無いであろう顔。




目鼻立ちは整っているのに勿体無いな、そんな印象を受けた。



何よりも気になったのは彼女の服装だ。私と同じ24歳だというのに着ている服は男物の服でサイズはオーバーしている。



24歳、という年齢で着る服では無い。そんな事を思ってしまった。男性らしい服装が好きな女性もいるが見ている感じそんな類ではない。服を着ているんじゃない。服に着せられている。



どうして、男性物の服を着ているのだろうか?そんな事考えるまでもなく理由は察してしまった。






本当の彼女はどんな物を着たいんだろう?どんな髪型にしてどんな風にメイクをしたいんだろう?化粧をしていないのに整った顔立ちを見てそんな事を思った。




「……あの、Aさん、」


『ん?何?』


「……僕、もう行かなきゃ行けなくて……あの、その……、」




歯切れの悪い言い方をしたチャン君が言いたい事はすぐに分かって安心して貰うように声をかけた




『大丈夫だよ?バイトが終わるまでお姉さんはこっちにいて貰うし、業務の説明をして覚えて貰うから安心してっ!』


「……えっ、ぎ、業務の説明って、」



顔を上げて驚いたチャン君は目を開きながら私を見つめている。




何をそんなに心配していたんだろう?私はバイトを募集していて、君は私にお姉さんを紹介してくれたんだよ?きっと、教えれば雑用は出来るはずだ。算数?そんなの私がすればいいんだから




『お姉さんさえ良ければこちらで働いて貰いたいな、と考えています』


「えっ、あ………」


「ほ、本当ですかっ!?あっ、ありがとうございます!!」




そう言って頭を下げたチャン君はお姉さんの方へ向くと肩を掴み喜びの声を上げた




「姉ちゃんっ!仕事が決まったんだ!凄いよっ!やったね!?」


「えっ、あ……うん、」
 
 
 

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作者名:ノルン | 作成日時:2024年2月11日 23時

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