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「……はぁ？Aがバイトする？」
「うん、俺の所で」
「チャンが働いてんのは居酒屋でしょ？計算も出来ないこの馬鹿をどうやって働かせる訳？」
深夜を超えた時間に帰ってきた母を待ち伏せしてチャンは母に私を働かせる、と告げると母はイヤリングを外しながら鼻で笑った
「居酒屋だから働けるんじゃん」
「どういう事？」
「コイツ、ずっと家事やって来たでしょ？料理は作れるし洗い物も掃除も出来る」
「……まぁ、そうだね？」
「ホールに出さずにキッチンや雑用だけさせてればこんな奴でも役には立つじゃん？」
「あぁ、なるほど。キッチンかぁ。女はホールって考えが染み付いちゃってた」
チャンと母が話しているのを交互に見つめながら会話を聞いていると母は私に目を向けた
「あんた、チャンが折角仕事を見つけて来てくれたんだから感謝しなよ？」
『………はい、』
座り込んだ私の目の前にチャンはしゃがみ込むと少しだけ口角を上げた後に優しい目のまま私に言葉を吐いた
「良かったなぁ？お前みたいな奴でも使ってくれる場所があってさ？家事をさせてくれた母さんに感謝しろよ？」
『………はい、』
チャンは一度私に意地悪な顔をしてニッ！と笑うと顔を戻して立ち上がり母の方へと振り返った。
「とりあえず、店には学校行ってない事は伝えてないから安心して？バレたら母さんがヤバいでしょ？」
………嘘ばっかり
「姉は簡単な計算も出来ないとんでもない馬鹿だから料理や雑用だけさせて下さいって伝えたら了承してたし、多分大丈夫だと思う」
「……分かった。チャン、気を付けてよ？コイツのボロが出ないように」
「分ーかってるって！……あ、あと、給料渡されたら全部俺に渡してね？」
『え？』
私に振り向いてそう告げると思わず固まってしまった。チャンは私から給料を取り上げる気なの？そんな事を考えた。
「当たり前だろ？お前が使える金なんて無いんだよ」
『……………』
「えぇー！私が貰おうとしてたのにっ！」
「駄目駄目！俺がコレを紹介したんだから俺が貰わなきゃっ！母さん、いいでしょ？」
「……もうー、しょうがないな、」
「やった！さすが母さんっ！」
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
