プロローグ B ページ2
小さい頃から母に嫌われていた。
男の子じゃ無いから。ただ、それだけの理由だった
物心がついた時には何で男じゃ無いの？そう言われてきた。そんな母にも唯一の心の癒し、という物が存在する。
3歳下の弟の存在だ。弟、なんて言っても父親は一緒か分からない。父親なんて人は私も弟も一度も会った事が無いんだから。
男の子が欲しかった母からすればやっと出来た可愛い息子の存在。金がかかってしまう私など虫ケラ同然だっただろう。
母が私にそんな態度を取っていれば弟が私に対して取る態度も虫ケラ同然になる訳で、
「何見てんだよ、こっち見てんじゃねぇよ、気持ち悪い」
「ちょっと〜、"アレ"でも一応姉なんだよ？」
「何言ってんの？母さんだって娘として見てないじゃん」
そう言って目の前で私を外して囲む食事は美味しいのだろうか？
床に目を移すとお腹の虫が鳴り響いている。不定期に与えられる食事を最後に食べたのはいつだろうか？
「ごめんねぇ？私達、全部食べちゃったの。アンタ、働けもしないくせに飯だけは欲しいって？金食い虫だねぇ」
『……………』
私を働けなくしたのは誰だと言うんだ。でも、そんな事を言うとどんな事が起こるか分からない
黙ったまま床を見つめているとまた腹の虫が鳴り響いてしまった。スッと立ち上がった弟は私の頭をガッと掴むとそのまま引っ張り上げて私を立たせる
「さっきからうるせぇよ、その音。……あぁ、イライラするなぁ」
そう言って頭を掴みながら私をリビングから連れ出すと扉が閉じる直前に、程々にしなよー？なんて聞こえた母の声、
引き摺られながら連れてこられた弟の部屋へ足を踏み入れ、バタンッと扉が閉まると頭から手を離した弟は私へと声をかける
「いつから食べてないの？」
『分かんない』
「……とりあえず、これ」
そう言って袋を私の目の前に置くと私の肩に手を置いて顔を覗き込む弟
「俺が母さん連れ出すからその間にこれ食べてお風呂入って、分かった？」
そう言われて頷くとそのまま弟は部屋から出ていってしまった。
少ししてから聞こえた玄関の扉が開く音を聞いた瞬間に急いで袋を開けるといつものやつが入っている。
自分の小遣いを割いてでも私を助けるのはどんな気分なんだろうか？
いつもより一つ多い唐揚げ弁当を口にすると少しだけ塩っぱく感じてしまった
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年2月11日 23時
