頭隠して君隠さず

2 Zip!! ページ3

　
　
　
　
　
　
　
　
「あのっ、そういえば昨日は大丈夫でしたか？」


『昨日？何が？』


「昨日、帰宅時間が遅くなかったですか？……夜は物騒なんで気を付けて下さいね？」


『………あぁ、うん』




まぁ、ピチピチの大学生で中性的な顔をしていて中々可愛い顔した男の子がそんなセリフを吐けばキュン……とする女性も中々多いと思う。



えっ、私の事心配してくれてるのっ……！？そんな可愛い顔をしてこんなカッコいい事を言うだなんて……っ、て顔を真っ赤にして両手で口を塞ぐ場面かも知れないな。



生憎だが、私にそんな事をする前に疑問が湧き上がるんだよ、スングァン君




『……よく知ってるね？帰ってきた時間』


「あっ……！えっと、その時たまたま玄関の掃除をしてて……っ！！、そしたらっ、ヒールの音が聞こえて……！そ、それでAさんが、帰ってきたんだなって……思って……、」


『……へぇ、』




夜の23時に玄関掃除か、まぁそういう日もあるんだろう。そして君はヒールの音だけで人物を区別出来るんだな、まぁそういう人もいるんだろう。




最初の方こそは湧き上がってはいけない気持ちが湧き上がっていた、もはや気持ち悪い、と。



でも、ここまで来てしまったらどこまで私にストーカーチックな発言を聞かせてくれるかが楽しみになってきてしまった。



勿論、ストーカーされてる？なんて思ってしまったよ？あまりにも把握されすぎてさ。でも、そんな不安は少し時間が経てば解消されてしまった。






"デザートは、キャラメル味が好きなんですね！昨日、少し聞いてしまったんですっ！……あっ、知ってますか？もうすぐ期間限定でキャラメル味のデザートが出るんですよっ！"


"そういえば、この間カレー作り過ぎちゃったんですよね！？Aさんのカレーかぁ……きっと美味しいんだろうなぁ、"





どこで聞いたのか分からないが何かしらの得た情報を彼は全て私に正直に話してしまう。……まぁ、いわゆる馬鹿？



普通隠すじゃん？隠さないんだよね、この子。新しい情報を得れた事が嬉しいのかルンルンに私に話してきちゃうんだよね。



その時に私は分かってしまった。あぁ、スングァン君にストーカーは無理だな、と。




もしこの子がストーカーだったとしたら馬鹿すぎてすぐに捕まってしまうだろう。
　
　
　
　

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