8 trick ページ9
「もう簡単に話すね？とある個人店のパン屋の夫婦が死んだ」
「ざっくりしすぎじゃない？」
「うるさいなぁ、今から話すのっ！」
そう言って少し唇を尖らせたチャニさんはミョンホさんへと食い付くと、また紙に視線を戻して口を開いた。
"時間は………、まぁいっか。
とりあえず、夫婦が二人死んだんだけどさ？死因は全身熱傷だってさ。
まぁ所謂、火災が発生したんだけどさぁ、逃げようとする痕跡も無ければ死んでる場所が倉庫だったんだよね。
普通、何かおかしいって思えば倉庫くらい出るでしょ？なのに二人とも出てないんだよね。
しかも、全身熱傷で死亡している、って事は酷いやけどの状態な訳じゃん？倉庫で、全身やけどする？自宅のキッチンとか、パンを準備するようなキッチンならまだしもさぁ？
何があって倉庫で火災が起きたのか分からないけど、何か燃えるものがあって火災があったのかなー？って。
でも、それでも倉庫内が燃えたら普通逃げるよね？それに、もし夫婦を狙う殺人犯がいたとしても抵抗するはずでしょ？そんな痕跡もない訳。
……夫婦二人に何が起きたか分かってない間に一瞬で死んでくれないと成立しない訳なんだけどぉ……、"
「そこでだよ？科学者様」
「なに？」
「今の話で怪しい所とか気付いた所ない？」
「情報少なすぎない？」
「えぇ……？もう……。我儘だなぁ、」
そう呟いて、紙を持ったままソファにドカッと座り込むと目を閉じて腕を組みながら何か考え始めてしまった。
考え事するなら、リラックスするのが一番だろう。チャニさんへと近寄り目線を合わすように屈むと私に気付いたチャニさんは、ん？と優しく私に問いかけた
………この子、妙な色気出すよなぁ
『あの、リラックスした方がいいかと思いまして……良かったらチョコ牛乳いり』
「いる」
『あ、はい、』
そう言われて冷蔵庫へと向かい小さいグラスにチョコ牛乳を入れてチャニさんに渡すと、少なっ！！という声を発した後チョコ牛乳を飲み始めた。
「……僕の分は？」
『……残してます』
そうミョンホさんへ返すと呆れたように頷いた後に、チョコ牛乳を飲んでいたチャニさんが急に声を上げた
「あっ！思い出した！」
『えっ、』
「チョコ牛乳飲んだら思い出したっ！」
『…………』
チョコ牛乳の力は偉大らしい。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年1月5日 20時
