5 trick ページ6
「Aには殺したい相手がいる。そして自分の手の中には手榴弾。」
『は？………まぁ、はい、』
「現場は、人足が少ない山の中で近くには湖がある。そしてAのすぐ近くにはその憎い相手。Aなら手榴弾を使ってどう殺す？」
『え？……えっと、』
手榴弾って爆弾だよね？手持ち爆弾みたいなさ？しかも、現場は人足が少ない山の中。だったら答えなんて一つしか無くない？
『その人に投げて殺します』
「……まぁ、普通の人ならそう返すよね、」
『え？』
「このニュースの被害者は手榴弾を使って殺されたんだよ、内臓破裂させられて」
『え？……え、はぁ？』
手榴弾って爆弾だよね？内臓破裂させられるほどの殺傷能力まであるの？…………ていうか、内臓なんて破裂させられるの？普通は爆弾の外傷とかが原因なんじゃ、
どういう事だ？なんて考えていると、そんな私を見て少し笑ったミョンホさんはまた私へと声をかける
「手榴弾ってね？爆発する時に不規則な形の弾が全方向に飛ぶ仕組みなんだよ」
『は、はぁ、』
「だから、出来るだけ遠くへ走り爆発する方向に足を向けて寝転べば自分に破片が当たる確率を1%以下まで抑える事が出来る」
『なっ、』
1%以下まで抑えられる？そこまで確率を下げられるのに被害者の方は手榴弾で内臓を破裂させられたの？
「ただ、それは地上で使えばの話。』
『へ？』
「手榴弾の怖い所はそこじゃない。手榴弾でその人を殺すには水に落としてから水の中に手榴弾を投げ込む。それが一番なんだよ」
『水の中に投げ込む？爆弾を？』
「手榴弾なんてほとんど防水だよ。で、水の中で爆発した手榴弾の威力ってどれくらいだと思う？」
『……え、……ま、まさか、』
あぁ、口角がヒクヒクしてきた。
「水の中では破片に当たる事はない。だけど、地上では分散されていた圧力波が水の中だと真っ直ぐに伝わってしまうんだよ」
『…………』
「そして、その強い圧力波は肺や内臓の空気を思いっきり押し潰して、結果的にグシャッ！」
『…………』
「一般の人じゃそんな事まで分かる人は少ないよ。犯人はそういう専門知識に長けている人や元軍隊だろうね？」
『…………』
「……ま、犯人の推測はチャニだけどね？」
そう言って笑ったミョンホさんを見て、言葉を失った。ミョンホさんとチャニさんだけで殺害方法と犯人像を出しているじゃ無いか、と。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年1月5日 20時
