29 trick ページ30
「ヒョン〜、大丈夫？」
「うん」
そう言って笑顔で入ってきたチャニに思わず溜め息が漏れた。
「Aに、どんな説明したのさ？かなり動揺してたよ」
「え〜、でも吊り橋効果は絶大だったでしょう〜？」
あぁ、それが目的だったのか。
少し笑いながら頷くとニッコリと笑ったチャニは近くの椅子へと腰掛けた。
「随分と本気だったようだからさ？ちょっとしたお手伝いだよ！」
「どうも、ありがと」
「それにしても、ヒョンも中々ずるいよね？」
「何が？」
「東町で事件が多発してるだって？」
思わずピクリと動いた眉を見てニーッと笑ったチャニから目線を逸らした。だから嫌いなんだ、チャニの目は。
「Aさん、東町に引っ越したばかりだもんねぇ？」
「………」
「ヒョンの所にずっと入り浸ってるし、ニュースなんて見る暇無いから詳しい場所なんてAさんは覚えてないか」
「………」
「ヒョンの家でもAさん、携帯はあまり見ていないんでしょ？」
「……ふふっ、何で？」
「携帯をよく見ているなら、ネットニュースで目に入るはずだからね？それでもそんな事を口にしたって事は、Aさんは元々携帯をあまり見ていない。
後、電話とかも気付きにくい人なんじゃない？かけ直してくる時間も遅いとか？家でも携帯を見ていないって分かっていないとあんな危険な橋渡らないでしょ」
「…………」
あぁ、やだやだ。だから嫌なんだよ、ギフテッドは。
「もう怖いよ、チャニ」
「これ位、予想立てれなきゃ商売出来ませんから？」
そう言って笑ったチャニ目線を移すと楽しそうに笑うギフテッド。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年1月5日 20時
