27 trick ページ28
「………え、ちょっと待って」
『え、』
「気持ちって何？」
『は？』
左耳から聞こえた声に溢れそうだった涙は引っ込んでいき思わず顔を上げると眠っていたはずの彼は目を見開いて何故か驚いている
『………え？』
「え？」
『………え？あの、いや………え？』
「え、何？」
『いや、何って………え、お、起きて？いた？』
「え、うん、何か目開けるタイミング失っちゃって」
えへへ、なんて笑い声を上げながら私の頭を撫でたミョンホさんとは裏腹に表情が無くなっていく私。
スッと彼から離れるとミョンホさんは寝転んでいた体勢から起き上がり私へと目を合わせた。
『あの……お聞きしたいんですが、』
「え、うん」
『な、何で無事、なんでしょうか？』
「え？死んで欲しかったの？」
『えっ！？いやっ、違います！ただ、ミョンホさんは重症なのかと思っちゃってたんで、』
「はぁ？何で？」
『え、』
私の発言に目を丸くしたミョンホさんは、少し笑うと事件の詳細を説明してくれた
「見ての通り、無事だよ？」
『……ど、どうして、』
「どうしてって、……防刃ベスト着てたし」
『ぼ、防刃ベスト？』
防刃ベストってナイフとかそういうのを防いでくれるやつ、だよね？え？そんなの着てたの？
「僕とチャニは、警察では無いから何かあったらいけないようにそういうの着させられるんだ。何が起こるか分からないからね」
『え、……えぇ？』
「チャニには、一応Aには事の経緯を伝えててって言ったんだけど聞いてないの？」
『……なん、なんですって？』
チャニさんからは、とてつもなく重苦しい雰囲気が流れてたけどあれは一体何だったの？
チャニさんも防刃ベストを着てたんなら絶対知ってたよね？
『……チャニさん、すごく神妙な面持ちでしたしミョンホさんは無事ですかって聞いたらすごく苦しそうに自分で確認してって言ってましたけど……』
「え、そんな事言ったの？お茶目だなぁ」
『……………』
お茶目？お茶目で済んでいいのだろうか？
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年1月5日 20時
