26 trick ページ27
『…………』
「お願い、ヒョンの所へ行って」
『ねぇ、ミョンホさんは、無事なん、ですよね？』
「……自分の目で確かめて、」
そう言われて居ても立っても居られず走り出しエレベーターへ乗り込むと5階のボタンを連打するとエレベーターは登って行った。
5階に到着したエレベーターから降りて503号室へと向かい扉を開くとカーテンは締め切られている。
『……え、嘘だよね？』
恐る恐る歩み寄りカーテンに手を掛けてゆっくりと開けていくとシャーッという音が嫌に耳の奥へ響いてしまう。
『……ミョ、ンホさ？』
目の前にいたミョンホさんはベッドに寝転がりながら眠っていてその顔は私が一昨日見た時の寝顔にそっくりだった。
彼の側へと歩み寄りそっと頬に手を伸ばすと指先に感じた温かみに少しだけ安堵した。………でも、彼は目を覚ましていない。
生きている、それだけでも嬉しい。でも、このまま目を覚まさなかったらどうしよう？このまま眠り続けたら？
『ねぇ、起きてよ、ミョンホさん』
彼の肩を掴み揺らしても何の反応もしてくれない。揺らし続けた、彼がそれで起きるならと、
『……ねぇ、何寝てるの？』
「…………」
『……今日の実験まだですよ、』
「…………」
『……私に喜んで貰わなきゃ駄目でしょ？』
「…………」
『……ミョンホさ、』
返ってこない返事に絶望が襲い思わず首に巻き付くと温かい体温を感じた。でも目を覚ましてくれない
『ミョンホさん、』
「…………」
『どうして、抱きしめてくれないの？』
「…………」
『この間、ギュッてしてくれたでしょ？ねぇ……』
「…………」
私はまだあなたに、
『……まだ、気持ちも伝えていないんだよ？』
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年1月5日 20時
