23 trick ページ24
『……ん、』
目を開けると瞼に刺さった光に思わず顔を顰めて身体を丸めてしまった。
鼻腔に流れるのは少し甘い匂いで私の身体は温もりに包まれている。私の目の前には白いシャツがあり背中には腕が回っている感覚がする。
あぁ、そっか。私寝ちゃったんだ。これだけ明るいなら今は朝なんだろう。
顔を上げると眼鏡を外して身体を丸めて寝ているミョンホさんがいた。顔を見ていると何とも言えない感情が湧き上がり彼の腰元の服を掴むと背中に回っている指先がピクリと動いた気がした。
ミョンホさんに包まれて眠った後にベッドまで彼は連れてきてくれたんだろうか？律儀な人だな、放っておけば良かったのに。
でも、ミョンホさんはそうやって気を遣ってくれる人ではあるよね。何だかんだこういう時は助けてくれる。昨日だって時間までは分からなかったけど私を助け出してくれた。
暗くて、ひとりぼっちで、雷も鳴り響いて、すごく寒くて、その中で待ち続けた時に現れたミョンホさんの姿が忘れられない。
彼の胸元にオデコを押し付けるとミョンホさんはモゾッと動いた後に背中に回っていた手は私の頭に柔らかく触れた
「A？起きたの？、」
『……………』
少し掠れた甘い声に顔を上げる事が出来なかった。起きてしまえば離れなきゃいけないかもしれない。
そう思うと顔を上げる事が出来なかった。今、私は寝ている。寝ているんだよ、ミョンホさん
そう思いながら腰元を掴んでいた手を背中へと回してギュッと掴むと柔らかく触れていた手は私の頭を包み引き寄せられた後に私の頭に顔を埋めたであろうミョンホさん
少しずつ湧き上がる幸せ感に目を瞑り小さく息を吐いてしまった。
もう少し、もう少ししたら起きますから。
だから今だけ、今だけこのままでいて下さいね、ミョンホさん。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年1月5日 20時
