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言われた言葉に思わず口をポカンと開いているとヘルメットを被ったままのミョンホさんがこちらへと近付いてきた。
「何してんの？早く着てよ」
『いや、あの、全力で遠慮したいんですが、』
「大丈夫だよ、死にはしないんだから。ただスイカの破片と爆音が鳴り響くだけだよ」
『全力でご遠慮願いたいんですが、』
はぁ？なんて言ったミョンホさんだが、フルのヘルメットを被っているミョンホさんの顔は残念ながら見えない。でもきっと拗ねている。この声は拗ねている。
「いや、あのさ？何時間前から準備してたと思ってるの？」
『知りません』
「僕はAに楽しんで貰おうと準備したんだよ？」
『いりません』
「そんな事言わないで早く行こうよ、ね？ほらっ！早く着てっ」
そう言いながら私へと防護服とヘルメットを押し付けたミョンホさんはそのまま元の場所へと歩いていった。
渋々、防護服を着てヘルメットを被りミョンホさんへと近寄るとミョンホさんの持っている長い棒の先にかかっているバケツの中から見えたのは謎の白い液体。
『あ、あれは何でしょう………』
「溶融塩」
『はい？もっと分かりやすくお願いします』
「んー、塩を液体にした状態のものだよ」
『……塩を、液体？』
「うん、1400度くらい熱せば溶けるんだよ。その結果があれ」
あぁ、塩もあんな使われ方してかわいそうに。きっと料理などに使って欲しかっただろうな。
「溶融塩をスイカに流し込むと爆発するんだよ」
『え、何でですか？』
「だから、水蒸気爆発だってば、火山と一緒だよ。高温物体に接した水は瞬間的に蒸発して膜に覆われるんだ。その間に色々な事が起きて高温物体は微粒化されて爆発する、それが水蒸気爆発」
『あぁ、すごいですね』
「………分かってる？」
『いいえ、全く』
「………まぁ、いいや。棒持って？僕は後ろから棒を掴んでおくからさ」
そう言われて棒を持つと私を後ろから覆うように棒を持ったミョンホさんに身構えてしまった。
ねぇ、これ本当に大丈夫？死なないかしら、私。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年1月5日 20時
