18 trick ページ19
「鍵を取り付けたんだ、実験場に」
「何で？」
「いつか彼女を閉じ込める為に」
「はぁ？？？」
思いもしなかった言葉に眉間に皺がより少し笑ってしまうと目の前の科学者は笑いながら言った
「まさか、こんな早くに実践出来るとは思ってなかったけどね？閉じ込めるだけでも怖いだろうに雷付きだよ？最高のタイミングじゃない？出来れば避雷針も欲しかった所だけど」
「………」
「簡易的な物作れば良かったなぁ」
「………」
人間と思えない発言に思わず表情を無くしてしまい、うちの助手へと視線を向けると彼女に至っては目を見開きながら口が開いている。
もう言葉を発す事も出来ないみたい。
「20時半頃に僕が家に着いて実験場の鍵を開ければ彼女はきっと泣きながら縋りついてくるだろうね」
「………」
「どんな顔して泣いてるんだろう」
思わず口に手を当てると僕の服を引っ張る小さな手。その手の持ち主に視線を向けると彼女はヒョンに聞こえないように俺に問いかけた
『……科学者さんってサイコパスだったんですか？』
「……素質はあるんじゃない？」
そう答えると、苦笑いをしながら頷いた彼女は一歩下がるとそのまま黙ってしまった。
「あ、そういえばヒョン」
「ん？」
「この間の山の中の事件あったでしょ？手榴弾のやつ」
「うん」
「ジフンさんが明後日もう一度事件現場を検証するから、俺とヒョンに来て欲しいんだって」
「は？何で？」
「知らない。とりあえず来いってさ。来なかったら報酬払わないって。何か気になる事でもあんじゃない？」
「はぁ、」
そうジフンさんからの伝言を伝えると至極面倒くさそうに鼻から溜め息をついた後に、あっ、と声を上げると立ち出した。
「そろそろ家に帰るよ」
「あぁ、分かった」
そう言って玄関先まで見送りヒョンの背中に向けて声をかけた
「あのさ、泣き顔見たかったか知らないけどやりすぎは厳禁だよ？」
「何言ってるの？」
「え？」
そう言うと後ろを振り向いて俺を見たヒョンの目に何だか自分を見透かされたように感じてしまう
「お前も俺と同じくせに」
そう言って笑って背中を向け扉を開けて出ていったヒョンに思わず拍子抜けしてしまった。
「俺、かぁ……」
いつもは僕なのに、俺なんて初めて聞いたなぁ。
「……隠れサイコパスってとこ？」
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年1月5日 20時
