17 trick ページ18
【DINO SIDE】
「……何しに来たの？」
「何？その言い方。邪魔だった？」
「いや、何しに来たのかな？って」
「僕に会いたいかな？と思って」
「はぁ？本気で言ってるの？」
眼鏡のブリッジを上げながらそんな事を言い放つヒョンに思わず笑ってしまった。
こんな土砂降りの雨で雷も鳴っているのにわざわざここに来た理由が分からない。
淡々といつものように話しているヒョンだけど心無しか楽しげな表情をしているのは俺の気のせいではないはず
「何でそんな楽しそうなの？」
「え？楽しそう？」
「うん、何かいい事あった？」
「まぁ、こんな天気になってくれて良かったな、とは思ったよ」
「はぁ？」
こんな天気で良かった？うちの助手は洗濯物が干せないってキレてたのに？ていうか、Aさんって大きい音駄目なんじゃ無かったっけ？
「ていうか、ここ来て大丈夫なの？」
「ん？」
「Aさん、大きい音怖いんじゃなかった？雷は平気なの？」
「いや？多分今頃、半泣きになってるんじゃない？」
そう呟き時間をチラチラと確認している姿は不自然そのものだ。気付いていないのか？
「……帰らなくていいの？」
「20時半頃が丁度いいかな？って思ってる」
「はぁ？何で？」
チョコ牛乳に口をつけながらヒョンの方を見るとこちらに目線をよこしたその目はこっちを細目で見つめながら口端を上げた
「チャニが言ったんでしょ？」
「何を？」
「吊り橋効果を試せ、って」
「あぁ、言ったけど……え？だから何？」
「だから試してる最中なの、今」
「……え、今？何したの？」
確かに吊り橋効果の話はした。まぁ、何かしら実践してはいるんだろうとは思っていたけどまさか今試している最中だとはね、
「多分、今頃真っ暗な実験場に閉じ込められて雷の音にビクビクしながら身体丸めて僕を待ってるんじゃないかなぁ？」
「え？実験場？何で？」
「頼み事をしたんだ。紙を渡してこれをリビングに持って来いって」
「うん」
「その前に、資料を番号順に並べてって頼んでるんだけど彼女のスピードなら約一時間半。そこから実験場へ向かい見たことの無い物を探してる間に20時になる」
「うん」
「そしたら、実験場の扉の鍵が締まる」
「は？」
締まる？何で？
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年1月5日 20時
