16 trick ページ17
「あ、そういえば、僕18時頃に家出るからね？」
『えっ、出るんですか？外は雷雨ですよ？』
「チャニの所に行かなきゃ行けないんだ。で、やってて欲しい事あるんだ、け、ど〜」
そう言ってカップを持ちながら、立ち上がるとダイニングテーブルの上に置いていた資料を指さした。
「この資料を番号順に並べていって欲しいんだ」
『え、この量ですか？、』
「うん、多分一時間半くらいで終わると思うよ」
そう言って山積みになっている資料は一体何枚あるのだろうか？まだ、始めちゃいないのに顔が歪みテンションが下がっていく。
絶対できる時間あったと思うんだよね。面倒くさかったのかな？これ、確実に押し付けてるよね？いや、文句は言えない。
『……分かりました。纏めておきます』
「よろしくね？後、纏めるのが終わったらこの紙に書いてる物を実験場から持って来て欲しいんだ」
そう言って私に紙を渡し大きい入れ物を手渡した。
紙を眺めるとズラリと並ぶ訳の分からない単語達。
『硝酸アンモニウム、尿酸、硝酸カリウム、塩素酸カリウムに塩素酸ナトリウム？…………はぁ、』
「それ、まだ一部だから紙に書いてるの全部持って来ててよ？」
『…………』
これ、何に使うんだろう？いや、聞いても理解出来ないんだ。聞くだけ無駄だ。
「じゃあ、お願いね？俺もう出るよ？多分21時前には帰ってくるから」
『分かりました』
そう言って車の鍵を取り背中を向けながら右手を挙げたミョンホさんは玄関の扉を開けて消えていってしまった。
バタンッと扉が閉まり静かさの後に聞こえる雨音に少し寂しさを感じてしまう。あぁ、一人なんだ。雷鳴らなきゃいいんだけどな、
思わず窓を見つめると先程よりも雨足は強まり窓を強く叩きつけている。すぐにでも雷が鳴りそうな怪しい雰囲気に思わず身体が震えた。
『あぁ、早く帰って来て、ミョンホさん……』
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年1月5日 20時
