13 trick ページ14
「何にも無いよ、それよりも……」
そう言って振り向いたミョンホさんは可愛らしく首を小さく傾げた後に困ったように笑った
「掃除、手伝ってくれるんだよね？」
『……まぁ、はい。予想はしてましたよ、掃除しろって言われる事位は』
「えぇ？掃除しろなんて言ってないでしょ？手伝って、って言ったの！僕ももちろんやるよ！」
『……スイカは一人でさせたのに珍しいですね』
「あれはAの為に、何時間もかけて準備したんだもん。掃除はしてくれなきゃ」
『頼んでないのに』
「喜んで貰おうと思ってさ？」
何が喜んで貰おうと思って、だよ。
事あるごとにどデカい音を鳴り響かせる実験に？驚かされるような実験に？デカい音が嫌いなのを知ってるのに？
あなたが実験場に篭っている度にヒヤヒヤしてるんだよ、こっちは。
あぁ、でもたまに心安らぐような実験も混ざってたなぁ。糸電話は100mまで聞こえる、とか。毎回あんなんならいいのに
「あ、伝えるの忘れてた」
『え？』
「これから、夜の20時以降は実験場に入っちゃ駄目だよ？」
『どうしてですか？』
「20時になると鍵が締まるようにタイマーを設定したから」
鍵が締まるように設定した？今までそんな事してなかったのに？
『どうして急にそんな事を？』
「地下には危険物が沢山置いてあるからね。もし、強盗に入られたら大変でしょ？爆弾を作ろうと思えば作れる位揃っちゃってるからね〜」
『……こんな山奥、誰も来ないと思いますが、』
「そんなの分かんないじゃん。この家に爆弾仕掛けられたら僕は木っ端微塵だよ？それに、」
『それに？』
「最近、物騒でしょ？戸締りはしっかりと、ね？」
確かにここの所ずっと事件は続いている。だが戸締りする場所間違ってると思うんだけどなぁ。
それに私が強盗ならこんな家襲わないよ、山奥すぎて。
『……まぁ、分かりました』
「閉じ込められたら、朝の8時になるか僕が開けるまで出られないからね〜」
『はいはい』
散らばった小麦粉をほうきで掃きながら一緒に掃除をして掃除を終わらせると資料の整理や備品の片付け、備品の補充を済ませてから私はミョンホさんの家から出た。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年1月5日 20時
