12 trick ページ13
『あ、あの何で心中だと思うんですか？』
私が二人へそう声をかけると二人はこちらを見た後に不思議そうな顔をしてお互い目を合わすと首を傾げてしまった。
え？何その鏡みたいな動作。しかも何、首を傾げちゃってんの？何でこいつ分かってないの？みたいな感じか？
………天才じゃない私が分かる訳ねーだろうがよ。
「だって、袋を開けてるんだよ？」
『へ？あぁ、はい』
「本当に小麦粉取りに来ただけなら袋を開ける訳ないでしょ？しかも倉庫にわざわざライターを持ち込んでるし、ハサミもラックの上に置いてある」
『…………』
「しかも、人が三人ほどしか入れない狭い空間だ。小麦粉なんて一瞬で舞い上がって視界は真っ白になる」
『…………』
「奥さんは封を開けて小麦粉を舞い上がらせた後に着火したんじゃないかな？小麦粉は一瞬で燃え広がって爆発するから旦那さんは逃げる暇も無かったはずだよ？」
『…………』
そうミョンホさんから説明をされると、何だか辻褄が合う気がする。あんな狭い空間で爆発なら全身やけどするはずだし、旦那さんは何が起きたか分からない間に爆発に巻き込まれる。
ましてや、逃げた痕跡も無ければ争った形跡も無い。殺人犯が来たとは考えにくい。
……そうなるとおのずと犯人は奥さん一人になってしまう、か。
『どうして、旦那さんと一緒に心中なんて……』
「……さぁ、そこまでは分からないけどね」
「まぁ何か思ってる事あったんじゃ無いの〜？なーんて言っても理由は流石に俺も分からないや、死人に口無しだよ」
そう言って、ソファの上で伸びをしたチャニさんは体を伸ばした後ソファから立ち上がった
「ありがとう、ヒョン。ジフンさんと話してみるよ」
「うん」
「あぁ、後Aさん！」
『あ、はい』
彼は私へと視線を向けるとニッコリと笑いながら口を開いた。
「"東町"は、たくさん事件あるらしいし気をつけてね？」
『あっ、そうですね、気をつけます……』
「…………はぁ、」
「それじゃあね〜！！」
そう言ってリビングから出て行ったチャニさんの背中を見送るとやけに強調された言葉の部分に疑問を抱いた。
『やけに強調してましたね？"東町"』
「……だから嫌なんだよ、あの子」
『え？』
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年1月5日 20時
