8 effort ページ9
事務所の扉を開けると、無愛想王子担当のハウスキーパーの方の姿がありこちらに振り向き笑顔を見せてくれた
『スングァン君っ！お疲れ様、今終わり？』
「お疲れ様です！"先輩"？」
僕がそう言うと罰の悪そうな顔をして苦笑いをしてしまった先輩。
歴は僕の方が上の筈なのに何故先輩呼びなのか、って？そんなの一人しかいないでしょ？
『ご、ごめんね。ジョンハンさんが………』
「ふふふっ、別に構いませんよ？仲が宜しいことで良かった良かった！付き合ったんですっけ？」
『いやっ！まだっ！まだだから！』
「えー、面白くないな」
事の発端は二日前だった。
事務所に置かれたままの先輩のバッグを発見して、どうしたんだろう？そう思いながら電話をかけたんだ。
でも、
"もしもし？"
聞こえてきた声は男性だった
「え？あ、あれ？すみません、番号間違え………？」
"いや、間違えてないよ"
「……え？」
どういう事だ？そう思い携帯を見るとやはり彼女の名前が書いてある
「あ、あの〜、えっと……………」
だ、誰だ？この人は？どうして知らない男の人が出てるの？
頭が疑問でいっぱいになった時だった
"ごめんね、まだ言ってなかったよね"
「え、」
"私は、そちらで言う無愛想王子と言う者です"
「ぶっ…………！！！！」
ぶ、無愛想王子っ！？って事は副社長！？
ていうか何であだ名がバレてんの！？あの人、副社長に無愛想王子って呼ばれてるよ、なんて言っちゃったの！？
"ちなみに彼女は今、俺の隣で寝てるよ"
「とっ………！？！？」
"裸で"
「はっ………！？！？」
"付き合ったんだよね、俺達"
「つっ………！？！？」
ヤバい、情報量が多すぎて頭が追いつかない。裸で寝てる？付き合った？え、いつの間に？
この間までゴミ屑野郎って言ってなかったっけ？
"で、そんなスングァン君にずっと伝えたい事があったんだけど"
「え、あ、はい……」
な、何を言われるんだろうか。副社長の権力で僕はクビ？クビなのか？いや、清掃会社なんだから副社長は関係ないか。
何だ何だ何だ。僕はあなたに一体何をしたと言うのだ。
"俺の彼女になったからさ、名前で呼ばないでくんない？気ぃ悪いっつーかさ？"
「え、」
何故、僕は牽制されているんだ。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2023年12月5日 18時
