6 effort ページ7
『……私だって立派に働きたいのに』
「うーん、……」
『だって、私と同じ年齢のスングァンは立派に仕事しているでしょう？』
「ま、まぁ、僕の場合は働かなきゃいけない、って言うのも大きいんですけど……」
『あぁ……"ご飯が食べられない"ですっけ？、可愛そう……』
「…………」
こんな事を平然と言っちゃう人が働いたらあり得ない程、敵が増えると思うよ。しかも悪いと思って言っていないから余計にタチが悪いと言うかさ？
まず、働きたいの前に自分の事は自分で出来るようになってからじゃない？
「……あ、あの〜〜」
『……え？』
「ま、まずは自分自身でお掃除や料理が出来るようになってから考えてみてはどうですか？」
『掃除や料理を……？スングァンもお父様やお兄さんと同じ事を言うの……？』
「あぁ、いや！そうじゃなくて……！」
僕は彼女の肩を掴みながら目を合わせ優しく言い聞かせた。
そう。子供に言い聞かせるように。
「まずは、言われた事をやり遂げてみる。それも大切ですよ？」
『…………』
「出来ないからやらない。そんなんじゃ、どんなお仕事も出来ないんですから。」
『…………』
「少しずつでいいんです。どっちか一つを出来るようになってみましょうよ？そしたら自信にも繋がるでしょう？」
『う、うん……』
「じゃあ、まずはそうだなぁ……料理は？」
『え？りょ、料理……？』
「うんっ！僕、Aさんの美味しいご飯食べてみたいなっ！」
『ス、スングァンッ……！』
そう言うと嬉しそうに笑って俯き大きく頷いてくれたAさん。これで料理が上手くなれば僕はここに来る度に毎回美味しいご飯が食べられる。最高じゃん。
「Aさんもよく、僕の為に作ってくれるでしょう？あれが美味しいご飯になったら嬉しいなぁ！」
『う、うんっ！私、スングァンの為に頑張る！絶対諦めずに美味しいご飯を食べさせてみせるっ！』
「うんうんっ！楽しみにしてますね？」
『えぇ！楽しみにしててっ！』
これで、彼女が料理を作れるようになれば週に3日の食費は浮くだろう。
妹達に買ってあげられなかったシール入りチョコモナカを買ってあげられる。是非、頑張って頂きたい。
そう思いながら彼女へ微笑むとソファから立ち上がり小さいバッグを持ち上げた。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2023年12月5日 18時
