26 effort ページ27
「こっ、これは…………」
『……少し、頑張ってみたの』
目の前に置かれたのは一つの皿に鮮やかな緑色のブロッコリーに、綺麗に照り付けられ白胡麻もまぶしてあるヤンニョムチキン。
細かくみじん切りの状態になりしっかりと巻かれてふっくらとした卵焼き。
そして、あんなにも透明だったスープはちゃんと少し白っぽくなっており少量のごま油が浮いていた。
目を見開き止まったままの僕の目の前に白米とお箸が置かれて付け添えにキムチと海苔ふりかけもやってきた。
……………あの時のご飯だ。
あの時と違うのはとても美味しそうに見える事といい匂いが漂ってきている事だった。
作っておいたのだろうか？これ、いつ温めたんだろう。気が付かなかったな、
そんな事を思いながら料理を凝視していると僕の隣へ座ったAさんから声がかかった。
『あの、良かったら食べて下さい、』
「え、」
『お口に合うか、分からないけど……』
「こ、これ、Aさんが一人で作ったの？」
そう聞くと、コクリと頷いた彼女を見て食べない訳には行かない、そう思いお箸を手に取りヤンニョムチキンに手を伸ばし、恐る恐る口へと運んでいった。
口に入れた瞬間に広がる辛味と甘みのバランスが程よくて、少しカリッとした食感のヤンニョムチキンに思わず口が止まってしまった。
…………美味しい、何だこれは？
そんな僕を見て不安に思ったのか心配そうに僕を見上げる彼女に僕は思わず笑顔が飛び出してしまった
「美味しいっ！美味しいよっ！Aさんっ！」
『ほ、本当っ！？』
「おかわりしてもいいのっ？」
『もっ、もちろんっ！』
そう言って箸を進め続ける僕を満足そうに見た後に彼女は笑顔を無くし俯いてしまった
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作者名：ノルン
| 作成日時：2023年12月5日 18時
