25 effort ページ26
手を離すと顔を上げ僕を見たAさん。
「お仕事しなきゃ、」
『あっ、あの………』
「ん？」
少しモジモジしてまた瞳を伏せたAさんは少し照れくさそうに口を開いた
『今日は、しなくても大丈夫なの、』
「え？どうして？」
今日、しなくていい？ならハウスキーパーの僕は何しに来た事になるんだよ。
そう思い、不思議そうに声を上げた僕にAさんは驚くべき発言をした。
『………お掃除、自分でしました、から』
「…………は？」
掃除をした？マリー・アントワネットが？自分で？
…………………掃除をしただ、と？
口をポカンと開けたまま動けなくなった僕にAさんはまた口を開いた。
『……えっと、なので確認だけお願いしてもいいですか？、』
「……あ、は、はい、」
『じゃあ、まずはこちらに………』
そう言って次々と各場所へと案内され確認していくとどこもかしこも綺麗に掃除されていて僕は呆気に取られてしまった。
どうしてこんなにピカピカなんだ？どうして掃除が出来るようになっているの？そんな疑惑が湧き出す中で確認は終わり、次はリビングへ通されるとソファに座って、と促され腰を降ろすと彼女はどこかへと行ってしまった
マリー・アントワネットが自らこんなにも綺麗に掃除をするだなんて、思ってもみなかった。
何故、掃除をしたんだろうか。僕は何の為にここに来たんだ？
……………いや、彼女の気持ちを知った今ではそんな事を思うのすら野暮かも知れないね。
きっと、頑張ったんだろうな。手があんなに荒れていたんだもん。ハンドクリーム持ってきてあげれば良かったかな。
ん？でも傷だらけにもなっていたな。何をしてあんなに傷だらけになったんだろうか、
そんな事を思っているとAさんが戻ってきて目の前に置かれた物に絶句してしまった。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2023年12月5日 18時
