24 effort ページ25
副社長からの伝言を貰いヤキモキしながら過ごした二日間。
いや、落ち着け、落ち着くんだスングァン。と自分で自分に言い聞かせてやってきたハウスキーパーの出勤日。
規定の青と白の制服に袖を通して青い帽子を被るともう行かなければならない気持ちでいっぱいになった。
どうしてこういう日に限って先輩に会えないんだろう。そんな事を思いながら事務所から出て目的の場所へと歩き出した。
歩き続けて約10分。
見えてきた少し懐かしい高層マンションに変な手汗をかいてきて、バッグをギュッと握りしめた
エントランスへと足を進めて少し震える手でインターフォンを鳴らすと聞こえてきた少し懐かしい声。
『……はい、』
「スングァン、です、」
『……いっ、今開けま、すっ！』
そう言ってウィーンと開いた扉。
そんな事よりも何故、僕よりも彼女の方が緊張しているんだ？声がガチガチになり少し震えた声で話した彼女に少し笑ってしまった。
そのまま先へと進みエレベーターへ乗り上がっていくエレベーターとは裏腹に先ほどのAさんを思い出してだんだんと落ち着きを取り戻しエレベーターから降りた。
玄関前まで歩みを進めて辿り着いた扉の前で立ち止まりチャイムを鳴らしてそのまま少し待つ。
ガチャッと扉が開き扉の奥へ視線を向けると視線を下にしたまま扉を開けるAさんが見えた
扉を開き切ったAさんは視線を上げると視界の中に僕の姿を捉えた。
「……お久しぶりです、Aさん」
『ス、スングァン…………』
そう僕の名前を呟いて俯いてしまったAさんはそのまま泣きそうな声でそっと呟いた。
『…………会いたかった、』
「…………」
そういえばあなたはいつも真っ直ぐに伝えてくれていたかもしれない。どうして気付かなかったんだろう。
垂れ下がった左手に右手を重ね少し握ると思わず笑いが込み上げてしまった。
何をしてそんなに手が傷だらけになっちゃったの？
「………僕もだよ、」
『…………』
そう返すと、傷だらけの少し乾燥してカサカサした小さな手は僕の手をキュッと握り返した
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作者名：ノルン
| 作成日時：2023年12月5日 18時
