23 effort ページ24
あれから約一ヶ月。
僕とAさんは何も進展せずに未だに僕は副社長のハウスキーパー、先輩はAさんのハウスキーパーのままだった。
元気にしているのだろうか、先輩を困らせてはいないだろうか？
そんな事を思いながら副社長に一度聞いてみたら先輩は何とか手こずりながらAさんのお世話をしているらしい。
どうやら、Aさんは先輩相手でも雇い主とハウスキーパーの垣根は超えてしまうらしい。
まぁ仕方ないと言うべきなのか、それがAさんのいい所だと言うべきなのか良く分からない状態だ。
そんなある日、いつものように副社長の自室をお掃除して、ちょうど掃除が完了した時だった。
ふと目についてしまった時計が並んでいる棚が目に入ってしまった
いつ見ても時計が沢山ある。そしてギラギラしている。思わず手が触れてしまいそうになった時に扉が開き慌てて姿勢を正した。
「終わった？」
「あ、はいっ！終わりましたっ！あのっ、時計はまだ触れてないので大丈夫ですっ！」
「………取るなよ」
「あ、いや！触っていませんっ！」
「まぁ、別にいいけどさ」
そう言って副社長はベッドに腰を降ろすと少し微笑みながら僕に声をかけた
「さっきAから電話が来たよ」
「え、………えっ、」
「そろそろスングァン返してってさ」
「……………」
Aさんが交代を頼んだのに………？
「とりあえず、次の清掃はAの所に行ってあげて？」
「あ……えっと、はい、」
Aさんにとうとう会ってしまうのか、そう思うと変に緊張してしまって表情が曇ってしまった。
そんな僕を見て副社長は笑い声を上げた
「何？緊張してんの？」
「……ひ、久しぶり、なので……」
「大丈夫だよ、そんな緊張しなくても。すごい会いたがってたよ？」
「そ、そうです、か」
一ヶ月ぶりか。もう怒ってないのかな？
というか副社長にAさんの気持ちを気付かされた今、どういう風に話せばいいんだろうか、
そんな気持ちでいっぱいだった。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2023年12月5日 18時
