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掃除を開始して30分程経った頃だろうか？キッチン周りの清掃をしていると部屋の扉が開く音が聞こえた
そのまま気にせずに清掃をしていると足音はだんだんこちらに近付いてきたのが分かり振り向くと彼女はこちらを見つめながら立っていた。
「ん？どうしたんですか？」
『……私も、お掃除を覚えなきゃな、って……』
「えっ、えぇ！？」
こりゃまた驚いた。マリー・アントワネットが掃除を覚えるだって？甘えん坊お嬢様に一体何の心境があったんだ？
『……お兄さんに言われたの」
『え、副社長？』
「うん、"お前、スングァンの掃除を見習ってるのか？ちゃんと花嫁修行しておけよ"、だって」
『あぁ、確かにAさんレベルだと必要ですね〜」
笑いながらスプレーをかけてIHヒーターを吹き上げていると彼女の口から爆弾発言が飛び出した。
『そうよね？やっぱりお仕事してないんだから家事はこなせるようにならなきゃいけないわよね？』
「は、………は、はぁ！？」
『え、』
驚いて振り向いた僕の声に驚いたのか彼女のお目目はもっとクリクリになってしまった。………いや、可愛いな。
いや、違う、そうじゃない。今なんて言ったんだ？
「し、仕事を……していな、い？」
『え？うん……知らなかったの？』
「し、知りませんでした……でも、どうやってこんな所に……」
『お父様が用意してくれたの』
「な、なんとっ…………！！」
お父様が用意しただって？こんな高層マンションを？金持ちの思考は分からないよ。
大体、何故家事も出来ない世間知らずを一人暮らしさせようとしたのかも僕には理解が出来ないよ。
「え、ご、ご飯どうしてるんですか？作れない、ですよね？」
『あぁ、それは毎日うちのじいやがここへ持ってきてくれるのよ！三食分！』
「…………な、なんとっ………！」
家にいるだけで、ご飯が届けられるの！？しかも毎日じいやが持ってくるの？ていうかじいやって現実に存在するの？漫画だけなんじゃないの？
『だってじいやが持ってきてくれないと、私餓死しちゃうでしょ？』
「……………」
普通はじいやもいないし、三食分届けられる事も無いんだよ、お嬢様。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2023年12月5日 18時
