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あぁ、クビだ………何てこった。どうしてこんな事に。
あの日、そう思いながら事務所に帰った僕は二日後規定の青と白の制服、青い帽子、そして掃除用の小さいバッグを持ってとある場所へと歩き続けていた。
結論から言うとクビにはならなかった。
だがしかし、僕は今世紀最大の緊張感と吐き気を催しながら目的地へと歩いている。どうしよう、殺されないかな?
見えてきた高層マンションに思わず溜め息をついてしまいマンションの中へ入りエントランスへと向かう。
エントランスのインターフォンを押すと、もはや声も出されずに開いてしまったエントランスの扉。
あぁ、憂鬱だ、吐きそうだ。もう今にも出てしまいそうだ。
何階まで上がるんだよ、って思うほどのエレベーターから降りて扉の前に立ちチャイムを鳴らした。
あぁ、僕は今どんな顔をしているんだろうか。
玄関が開いた瞬間、僕はどうしたらいい?とりあえず挨拶?いや、まずは謝罪か?
そんな事を考えていると玄関の扉が開き僕は喉を鳴らしてしまった。冷や汗もダラダラだ。
「お前らの喧嘩に巻き込んでんじゃねーよ」
「………も、申し訳ございません」
一言目が、それなんですね。でも本当にすみません。というか喧嘩したつもりも無かったんですがね。
そう言って頭を下げると頭上から聞こえた溜め息と、入って、と言う言葉に中へと進んでいった。
リビングの扉を開けると僕の目の前に腕組みをしながら立っているその姿に口角がヒクヒクしてしまった。
「……俺、詳しく知らないから何があったか知らないんだけど、何があった訳?」
「あ、えーっと、ですね………」
「何でハウスキーパー交換しなきゃなんないの?」
「…………」
怒っている。間違いなく怒っていらっしゃる。
そりゃあ、そうだよな。彼女(?)が妹のお掃除へと行ってしまったんだから。
浴びせ続けられる冷たい視線にだんだんと肩身が狭くなってきてチラッと整いすぎている顔を見ると怒っていると言うよりかは呆れている顔をなさっていた。
…………ごめんね、副社長。
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作者名:ノルン | 作成日時:2023年12月5日 18時