12 effort ページ13
この中で恐らく食べられる物はキムチと海苔ふりかけ位じゃあ無いの?
「と、とりあえず先に掃除をさ」
『冷めちゃうから先に食べてっ!』
「え、」
嫌だ、本当に嫌だ
だがしかし、残念な事に一度口をつけないとAさんは納得してくれないだろう。
「あ、じゃ、じゃあ、先に食べ」
『ええ!そうしましょう!ご飯をよそってくるわね!』
「……………」
そう言いながらまたルンルンでキッチンへと向かっていってしまった。話すら聞けないくらい嬉しいようだ。
あぁ、腹を括らなければ。僕はソファに腰を下ろした
ソファへ座っていると二つのお茶碗にご飯がよそわれ箸と共に現れたAさんに何とも言えない気持ちが湧き上がりながら目の前に置かれた箸を持ち頂きます、と声をかけ卵焼きという名のスクランブルエッグに手を伸ばした。
あぁ、見てる。めちゃくちゃ見てる。恐る恐る口へ運ぶと、思わず顔が歪んでしまった
味がしない。どういう事だ?それと共に襲いかかってくる人参のゴリゴリしてる食感と卵焼きに似合わないシャキッとした玉ねぎの食感。
まずい、不味すぎる。とりあえず人参が口の中で暴れ回っている、もはや凶器じゃないか。
『……どう?』
「……美味しい、とは、言えないです」
『えっ、う、嘘……』
そう呟くと、自ら卵焼きを掴み口に運ぶと見た事無いほどの表情をして口の動きが止まっていった
そして次はヤンニョムチキンに無言で手を伸ばしていきそれを齧ったAさん
『……んっ!?!?』
齧ったはいいが噛みちぎれないヤンニョムチキン。それだけで分かる。きっと中は生なのだろう。
噛みちぎれないまま口からチキンを離していき、ヤンニョムチキンという謎の物体を小皿の上に置くとまたしょんぼりとしてしまった
『……こんな味、ヤンニョムチキンじゃ無い。どうして甘辛い味がしないの?』
そっちかい、
「あの、お肉も火が通ってないと思いますよ?噛みちぎれていなかったし………」
『えぇ!?あれはお肉の品質が悪かったからじゃ無いの!?』
「…………」
鶏肉も可哀想に。身に覚えの無い罪をなすりつけられてしまって。
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作者名:ノルン | 作成日時:2023年12月5日 18時