11 effort ページ12
見えてきた何度見ても高い高層マンション。エントランスをくぐりインターフォンを鳴らして扉を開けてもらいエレベーターへと乗り込んだ。
さてさて、どんな料理が僕を待っているのだろうか。果たして完璧に出来上がっているのだろうか？
いや、不安に感じる事はない。僕にはコイツがいる。
右手に持っているパスタとパスタソースが入っている袋をギュッと握りしめ、エレベーター内から軽快な音が聞こえエレベーターを降りてAさんの玄関まで歩いて行った。
チャイムを押し少し待つとガチャッと開いた扉からはエプロン姿のAさん。
『いらっしゃい！スングァン！早く入って！』
「え、」
そう言って僕の腕を引っ張り中へ進もうとするAさんの強引さに少し押されながら靴を脱ぎ捨てリビングへと引き摺り込まれた。
リビングへと入るとテーブルの上に置いてある数々のオカズのような物達。
『何を作ってくれたんですか？』
「これは、ヤンニョムチキン！後は野菜入りの卵焼きとワカメスープ！このブロッコリーは彩りが必要かな？と思って置いたの！後は、キムチと海苔ふりかけ！」
ヤンニョムチキンはまだ見た目は大丈夫だ。ただ味と中まで火が通ってるか分からない。油断出来ない、問題は他だ。
『…………あの、この卵焼きって中に何が？』
「人参と、玉ねぎと、ほうれん草！」
『…………これ、炒めました？』
「え？ううん、炒めてないわよ？」
『…………』
微塵切りならまぁ、炒めなくても問題は無いだろう。だがしかし野菜達はザク切りだ。大きさがすごい事になっている。そして卵焼きというかスクランブルエッグだ。
「卵焼きはね？上手く巻けなかったの……でもっ！きっと味は美味しい筈だからっ！」
そりゃあ、これだけ野菜が大きければ巻けやしないだろう。煮込み料理じゃ無いんだぞ。玉ねぎなんて透明にもなっていない。真っ白のままだ。
おそらく二つとも生のままだ。そして人参はきっと硬いだろう。
そして、ワカメスープは何故透明なんだ。普通は少し色がついているはずなのに恐ろしい程、透明だ。水じゃ無いの？これ
ブロッコリーって茹でてる？
あぁ、食べるのが怖い。いや、もう食べたく無い。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2023年12月5日 18時
