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ルンルンで歩き出して行ってしまったマリー・アントワネットもといAさんの背中を追いかけ、靴を脱ぎリビングまで歩みを進めるとテーブルから見えたのは今日の僕のオヤツだった
近くまで歩いていくとだんだんと見えてくる美味しそうなホットケーキ。色は普通の色で本当に美味しそうだ。
珍しいな。いつも丸焦げか真っ茶色なのに。
「あ、美味しそう」
『そうでしょう！？上手に焼けたのっ！』
「頑張ったんですね」
そう言って頭を撫でてやると嬉しそうに笑い肩をすくめるAさん。可愛らしさを感じるのは妹が沢山いるからだろうなぁ。
でも、ごめんね、Aさん。僕は今から仕事なんだ。
「後で、頂きますね？」
『えっ！？今、食べないの！？』
「いや、僕の仕事は食べるじゃなくて掃除ですからね？」
そう困ったように微笑みながら伝えると少し眉を下げ、そうだけど……なんて呟く彼女はとても残念そうだ。
そんな彼女を尻目に、ホットケーキにラップをしてキッチンに置くとAさんはしょげたまま自室へと篭って行ってしまった。
「………はぁ、」
あぁ、あれは拗ねてるな。何か機嫌取る方法考えないといけないなぁ。
ていうかホットケーキに失敗も成功もある？分量通りにやって焼けば終わりじゃない？何でAさんはたかがホットケーキにドヤ顔出来るんだ。
でも、何かやれば失敗して僕に怒られて、の日々が当たり前だったからほぼ初めて成功して喜んでるんだろうなぁ。
一番、酷かったのは何だっけなぁ？
あぁ、あれだ。ゆで卵を食べさせようとして電子レンジで温めて大爆発。
何なら、やっちゃダメな事ランキング1位レベルだよね？何で知らなかったんだろうか、本当に。
ていうか、ゆで卵って料理じゃないよね？チョイスもセンス悪すぎるしさ。
そんな事ばかり考えて手が止まっていた自分にハッとした。
「あぁ、ヤバイヤバイっ！早く掃除しなきゃ……」
バッグから掃除用具を取り出しいつものようにマリー・アントワネットの家を隅々まで掃除していく事にした。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2023年12月5日 18時
