38 Ugh! ページ39
『はい？』
「何してんの？」
『はい？』
「サンドイッチは俺だろ？」
『は？』
何故だ。あなたにはたった今食パンを渡したではないか。
「俺がサンドイッチ食べるから、Aが食パンね？これ、使っていいよピーナッツバター。あ、ちなみに家にトースター無いから」
『……………』
何故だ、何故そんな事になるんだよ。トースターも無いのも知ってるんだよ。
『………あの、私ピーナッツバター食べれな』
「じゃあ、生で齧れば？」
そう言って私のサンドイッチを取り上げ大きく齧り付いてしまった副社長。お、美味いな、なんて言いながら食べ進められるサンドイッチを呆然と見つめる事しか出来なかった。
そして、私の手に残ったのは袋に入った生の食パンと苦手なピーナッツバターだけになってしまった。
「歴史を学ぶと、我々が歴史から学んでいないことが分かる」
『………は？』
「過去の経験や出来事を学ぶことによって、今の自分のことを見つめ直すことが出来るって事。」
『……………』
「今回で俺へ嫌がらせしたらどうなるか見つめ直せたんじゃない？」
『……………』
「俺に嫌がらせした罰だよ」
そう言って楽しそうに笑った副社長の顔を見て一日はまだ始まっていないのにげんなりとしてしまった。
結局あの後は生で食パンを食べ時間になった頃に副社長の車へと乗せて貰い出勤した。
そして同時に私は心に誓った。
もう副社長へは変な事は考えずに大人しく過ごすのが自らの為である、と。
副社長の名言を借りるのならば、悪は身を滅ぼす。今の私にはこの言葉がピッタリだ。
あれ？これは名言だったっけ？分からないが変に悪知恵を働かせたら駄目だ。そう心に誓い私の一日は始まってしまった。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2023年12月1日 1時
