37 Ugh! ページ38
副社長の自宅に到着し、エントランスでチャイムを押すとまたも無言で扉を開けられ長ったらしいエレベーターに乗り玄関でチャイムを押すと無表情の副社長が出てきた
「………パンは」
『………ここにありますが』
そう言って袋を持ち上げるとそのまま扉を大きく開いた副社長
「入って」
『何故？』
「何故？」
私の質問の意図が分からなかったのか、顔を顰めながら質問してきた副社長。
「Aの分のパンも持ってこいって言っただろ？」
『はい』
「一緒に食べるよ、早く入って」
『………………』
その役割はスングァン君のはずだったのに。
ジト目で副社長を見上げながらヒールを脱いでお家の中へお邪魔すると通されたリビング。
ソファへ座って、と促されソファへ腰を降ろすと声がかけられた
「何飲む？」
『この家に置いてある一番高いもので』
「398円の紅茶だけどいい？」
『安いなぁ』
「………紅茶ぶっかけるよ？」
そう言いながらキッチンへと消えて行った副社長を尻目にパンの袋をテーブルへと置き待っていると戻ってきた副社長。
目の前に紅茶をコトッと置くと私の隣へと腰掛けた副社長に、副社長の為にと選んだパンを取り出し渡してやった
「…………え、何これ」
『副社長のパンです』
「…………え、食パン？」
『はい、焼いて食べて下さい』
「………え、他にもあったよね？」
『私を振り回す罰ですよ』
「……………」
そう言うと無言で立ち上がりキッチンへ向かった。
フッ、この家を掃除した時にトースターは無かったのは覚えている。そしてレンジもオーブントースターでは無かった。生で齧らなければならないだろう。
副社長の事だ、食パンなんて普段食べないだろうからジャムやクリームなども置いていないだろう。細やかな私の反抗を喰らいやがれ。
そう思いながら私は買ったサンドイッチの封を開けようとしている時に戻ってきた副社長の手を見て時が止まってしまった
『ピーナッツバターじゃん………』
「あ？」
くそっ、何故そんなものが置いてあったんだ。それがあれば美味しく食べられてしまうじゃ無いか。まぁ、私は好きじゃないけどね。
止まっていた手を動かしサンドイッチを取り出すと、おい、なんて声がかかった
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作者名：ノルン
| 作成日時：2023年12月1日 1時
